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SEOとAIO、どちらを優先すべき?自社の状況で決める判断基準と両立の進め方【2026年最新】

「これからはSEOよりAIOだ」という声もあれば、「AIOもSEOの延長にすぎない」という声もあります。限られた予算と人手で、結局どちらに力を入れるべきなのか悩まれるかもしれません。

先に答えをお伝えすると、SEOとAIOは二者択一の関係にはありません。ただし、どちらから手をつけ、どの程度の力を割くかは、会社の置かれた状況によって変わります。SEOの土台がまだ固まっていない会社と、すでに上位表示できているのに流入が減り始めている会社とでは、取るべき順番がまるで違うからです。同じ「AIOに取り組む」という判断でも、前者にとっては早すぎ、後者にとっては遅すぎることがあるわけです。

本記事では、SEOとAIOの違いと共通点を整理したうえで、「SEO上位でもAIで引用されるとは限らない」という最新データ、自社がどちらを優先すべきかを決める5つの判断基準、タイプ別の力の入れ方、そして両立の進め方までを順に解説します。読み終えるころには、自社が次の一手として何をすべきかを、社内で説明できる状態になっているはずです。

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1. 結論|SEOとAIOは「どちらか」ではなく「順番」の問題

1-1. 結論

SEOとAIOのどちらを選ぶか。この問いへの答えは「両方。ただし順番がある」になります。少し拍子抜けするかもしれませんが、ここを曖昧にしたまま施策を始めると、あとで判断がぶれやすくなるので、最初に言葉の意味から揃えておきます。

SEOは、検索結果で自社のページを上位に表示させるための取り組みです。一方のAIOは、AI OverviewやChatGPTなどのAI検索で、自社が引用されたり紹介されたりする状態をつくるための取り組みを指します。名前が似ているせいで「新旧の手法」や「ライバル同士」のように語られがちですが、実際の仕組みを見ると、両者は対立していません。むしろ、SEOが土台にあり、AIOはその上に積み上げていくものと捉えたほうが実態に合っています。

現場でよく耳にするのが、「SEOはもう古いので、これからはAIOに予算を移したい」という相談です。気持ちはよくわかります。ただ、土台を外して上の階だけ建てようとしても、建物は安定しないでしょう。逆に、土台づくりだけに何年もかけて上の階に手をつけないままだと、AI検索で情報を集める人たちの目には自社が映らなくなってしまいます。だからこそ、「どちらか」ではなく「どの順番で積むか」を考える必要があるわけです。

1-2. 二択にならない理由

なぜ「SEOかAIOか」という二択が成り立たないのか。その根拠は、Google自身の説明にあります。

Googleは2026年に公開した生成AI機能向けの公式ガイドで、AI OverviewやAIモードなどの生成AI機能は、コアの検索ランキングの仕組みの上に成り立っていると説明しています。コアの検索ランキングとは、通常の検索結果の順位を決めている、Google検索の中心となる評価の仕組みのことです。さらにGoogleは、自社の立場からすれば、生成AI検索への最適化もSEOの一部だという考え方を示しています。

この説明を実務に引き寄せて考えると、話はシンプルです。AI Overviewに引用されるには、まずページが検索エンジンにインデックス(検索エンジンのデータベースに登録されること)され、評価されている必要があります。インデックスされていないページは、AIが参照する候補にすら入りません。SEOをやめてAIOだけに取り組むという選択肢は、少なくともGoogleの検索については成り立たないと言えるでしょう。

もちろん、ChatGPTやGeminiのように、Google検索とは別の仕組みで動くAIもあります。ただ、多くの会社にとって最も身近なAI検索の入り口はGoogleのAI Overviewです。その入り口が検索の仕組みの上に建っている以上、SEOを手放す理由は見当たりません。

1-3. ただし、優先順位は会社ごとに違う

とはいえ、「両方大事です」で話を終えてしまっては、判断の役には立ちません。予算も人手も無限ではない以上、どちらにどれだけ振り向けるかは、会社ごとに決めなければならないからです。

たとえば、地方で工務店を営む会社が、まだ「地域名+注文住宅」で検索結果に出てこない段階にあるとします。この場合、AIで紹介されるための工夫を重ねるよりも、まず検索で見つけてもらえる状態をつくるほうが先でしょう。一方で、BtoBのソフトウェアを扱う会社が、用語解説の記事で長く上位にいるのに、ここ最近になってクリック数だけが落ちているというケースもあります。こちらは、SEOの土台はすでにあり、AIでの見え方に目を向けるべき段階に入っていると考えられます。同じ「SEOとAIO」の話でも、置かれた状況が違えば、次の一手はまったく変わってくるわけです。

その判断に使えるのが、6章で紹介する5つの基準です。ただ、基準を正しく当てはめるには、SEOとAIOがどこで違い、どこで重なり、どこでずれるのかを先に押さえておく必要があります。次の章から、順に確認していきます。

2. SEOとAIOの違い|目的・評価・成果指標を比較

2-1. SEOとAIOの定義

まずは言葉の定義を確認しておきます。社内で話をするとき、人によって「AIO」が指す範囲が違っていて議論がかみ合わない、という場面は意外と多いものです。

SEO(Search Engine Optimization)は、Googleなどの検索エンジンで、自社のページが検索結果の上位に表示されるように整える取り組みです。コンテンツの中身を磨くことだけでなく、検索エンジンがページを正しく読み込めるようにする技術的な整備も含まれます。

AIOについて、バクリでは以下のように定義しています。

AIOの定義
主な対象:AI Overview+各種生成AI(AI検索全般)
目的:AI Overview対策とLLM対策(その他AI対策)を合わせた総称。AI検索全体で引用・紹介される状態をつくること

この定義のとおり、本記事でいうAIOは、GoogleのAI Overviewだけを対象にしたものではありません。ChatGPTやGeminiのような生成AI全般で、自社が引用・紹介される状態を目指す取り組みの総称として使っています。「AIO」という言葉をAI Overview対策だけの意味で使う記事もあるため、外部の資料を読むときや、支援会社と話をするときは、どの範囲を指しているのかを一度確かめておくと、あとで食い違いが起きにくくなるでしょう。

LLMOやGEOなど、関連する用語との違いは[AIO・LLMO・GEO・SEOの違いに関する記事|内部リンク先URL]で詳しく解説しています。

2-2. SEOとAIOの比較表

定義を押さえたところで、両者の違いを観点ごとに並べてみます。表は上から、何を対象にするのか、何をゴールにするのか、どう表示されるのか、成果を何で測るのか、という順に読むとわかりやすいはずです。

観点SEOAIO
対象Googleなどの検索結果AI Overview、AIモード、ChatGPT、Geminiなど
ゴール検索結果の上位に表示される回答の中で引用・紹介される
表示のされ方順位のついたリンクの一覧回答文の中での言及や出典リンク
成果指標順位、クリック数、自然検索からの流入言及・引用の有無、AI経由の流入、指名検索
計測のしやすさSearch Consoleで詳細に確認できる一部はSearch Consoleで確認できるが、手作業の確認も必要
結果の安定性比較的安定している同じ質問でも回答が変わることがある

この表で、とくに見ておきたいのが下の三行です。SEOの成果は順位やクリック数といった、ツールで追いやすい数字で表せます。それに対してAIOでは、回答の中で自社が触れられたかどうか、AI経由でどれだけ人が来たか、社名やサービス名で検索する人(指名検索)が増えたかといった、少し間接的な指標を組み合わせて見ることになります。しかも、その一部は手作業で確かめるしかありません。

担当者の方と話していると、「AIOの成果を上司にどう報告すればいいかわからない」という声をよく聞きます。その原因の多くは、SEOと同じ物差しでAIOを測ろうとしていることにあるのではないでしょうか。測り方が違うことを最初から前提にしておけば、報告の組み立て方もずいぶん楽になります。

2-3. 評価のされ方の違い

比較表の中身を、評価のされ方という視点からもう少し掘り下げてみます。

SEOでは、ページ単位で順位がつきます。1位から10位までのどこにいるかで、クリックされる可能性は大きく変わりますし、順位が一つ上がるだけで流入が目に見えて増えることも珍しくありません。だからこそ、SEOの担当者は「何位にいるか」を日々追いかけてきたわけです。

ところが、AIOには順位という考え方がありません。AIの回答の中で名前が挙がるか、挙がらないか。そして挙がった場合に、自社の強みが正しく伝わっているかどうかが問われます。たとえば、ある会計ソフトの会社が「中小企業向けの会計ソフトを教えて」とAIに聞いてみたところ、候補には挙がっていたものの、すでに終了したプランの説明が添えられていた、というケースを考えてみてください。名前が出ていても、内容が古ければ、検討している人にはかえって誤解を与えかねません。

もう一つの大きな違いが、結果の揺らぎです。AIの回答は、同じ質問でも毎回変わることがあります。一度確認しただけで「うちは出ている」「出ていない」と判断せず、繰り返し確認する必要があるのは、SEOにはなかった手間と言えます。日を改めて同じ質問を投げる、言い回しを少し変えて試す、といった確認を重ねてはじめて、自社の見え方の傾向がつかめてきます。

3. SEOとAIOの共通点|両方に効く施策

前の章では違いを中心に見てきましたが、実務の現場で手を動かす段階になると、むしろ共通点のほうが目立ってきます。ここでは、SEOとAIOがどこで重なっているのか、そして両方にまとめて効く施策は何かを整理します。

3-1. 共通の土台

Googleの公式ガイドが、生成AI機能で評価されるために挙げている要素を見ていくと、SEOで長く重視されてきたものとほとんど変わらないことに気づきます。具体的には、次のような要素です。

  • 読者にとって独自で有用なコンテンツ
  • 検索エンジンがページを見つけて読み込める技術的な状態
  • ページがインデックスされ、スニペット付きで表示され得ること
  • ローカルビジネスや商品の情報の整備(Googleビジネスプロフィール、Merchant Centerなど)

一つ目のコンテンツの質は、SEOでも繰り返し言われてきたことです。二つ目と三つ目は、いわゆるテクニカルSEOの領域にあたります。スニペットとは、検索結果でページのタイトルの下に表示される短い説明文のことで、これが表示され得る状態にあることが、生成AI機能で取り上げられる前提の一つとして挙げられているわけです。四つ目のGoogleビジネスプロフィールは、店舗や会社の情報をGoogleマップや検索結果に載せるための仕組みで、Merchant Centerは商品情報をGoogleに登録するためのツールです。

こうして並べてみると、「AIO向けの特別な施策」として紹介されることの多い取り組みも、その中身はSEOの基本と重なっていることがわかります。裏を返せば、これまでSEOの基本を丁寧に積み上げてきた会社は、AIOに向けてもすでに一定の準備ができていると考えてよいでしょう。新しい言葉が出てきたからといって、ゼロから別の取り組みを始める必要はないのです。

3-2. 両方に効く施策4つ

共通の土台を踏まえると、実務でまず取り組みたいのは次の4つの施策です。どれもSEOとAIOの両方に効いてきます。

  1. 一次情報を載せる。自社の調査データ、事例、現場の知見など、ほかのページにはない情報を指します。Googleは、独自で有用なコンテンツが生成AI機能での露出に最も長期的な影響を与えるとしています
  2. 答えを先に書く。見出しの直後に、その見出しへの答えを1〜2文で示すと、読者にもAIにも伝わりやすくなります
  3. 会社・サービス情報を正確に揃える。会社概要、サービスページ、Googleビジネスプロフィールの情報を最新の状態にし、表記を統一します
  4. インデックスと技術面を整える。重要なページがインデックスされているか、読み込みに問題がないかを確認します

この中で、手をつけやすいのは二つ目と三つ目でしょう。たとえば、整体院を営む方が「肩こりの原因」というページを持っているなら、見出しのすぐ下で原因を端的に書いてしまい、詳しい説明はそのあとに続ける。それだけでも、読者が途中で離脱しにくくなりますし、AIが要点を拾いやすい形にもなります。

三つ目の情報の統一は、地味ですが見落とされがちな作業です。会社概要とGoogleビジネスプロフィールで営業時間が違う、サービス名の表記がページごとに揺れている、といったずれは、人間の読者だけでなくAIにも混乱を与えかねません。一度すべてのページを並べて見比べてみると、思わぬ食い違いが見つかることがあります。

これらの施策は、「SEOのため」「AIOのため」と分けて考える必要がありません。どちらか一方を目的に取り組んだとしても、もう一方にも効いてくるからです。人手が限られている会社ほど、まずこの共通部分から始めるのが合理的だと言えます。

4. SEO上位でもAIOで引用されるとは限らない|データで見るズレ

1章から3章では、SEOとAIOの関係を仕組みの面から見てきました。ただし、土台があれば自動的にAIで引用されるわけではありません。この章では、SEOの順位とAIでの引用のあいだにある「ずれ」を、データをもとに見ていきます。

4-1. 上位10位との重なりは約38%

ここまで「SEOが土台」と説明してきましたが、それは「SEOで上位にいれば、AIでも引用される」という意味ではありません。この点を誤解したまま進めると、「上位にいるのに、なぜAIには出てこないのか」と首をかしげることになります。

SEOツールを提供するAhrefsが2026年3月に公表した調査では、AI Overviewに引用されたURLのうち、同じ検索で上位10位にも表示されていたのは約38%でした。残りの内訳を見ると、11〜100位が約31%、100位圏外も約31%です。この調査は、86.3万件の検索結果と、400万件のAI Overviewの引用URLを分析したものです。つまり、AI Overviewに引用されたページの多くは、検索結果の1ページ目の外から選ばれていたことになります。

同社が2025年7月に公表した前回の調査では、この割合は約76%でした。数字だけを並べると、上位10位との重なりが大きく減ったように見えるでしょう。

ただし、ここは読み方に注意が必要です。Ahrefsは今回、引用URLを取得する方法を改善しており、以前より多くの引用を捉えられるようになっています。また、AI Overviewに使われているAIのモデルも変わっています。2つの調査はまったく同じ条件で行われた比較ではないため、「上位10位との重なりが半分に減った」と単純に言い切ることはできません。社内の資料などでこのデータを引用する際も、約38%と約76%を並べて「急減した」と書くのではなく、条件が揃っていない比較であることを添えておくのが誠実な扱い方だと考えています。

4-2. なぜずれるのか

では、なぜ検索順位とAIでの引用がずれるのでしょうか。Ahrefsは、その理由の一つとして、AI Overviewの情報源の選び方を挙げています。AI Overviewは、ユーザーが入力した検索語そのものの検索結果ではなく、AIが内部で生成する関連した検索の結果から情報源を選んでいる可能性がある、という指摘です。この内部で関連検索を広げていく仕組みは、クエリファンアウトと呼ばれています。

たとえば「庭の雑草を減らすには」という検索に対して、AIは「芝生用の除草剤」「薬を使わない除草方法」など、関連する複数の検索を内部で行い、その結果から情報を集めることがあります。Googleも公式ガイドで、この仕組みを説明しています。そのため、入力された検索語では上位にいなくても、関連する検索で評価されているページが引用されることがあると考えられるわけです。

この仮説に立つと、実務での見え方も変わってきます。たとえば、ある園芸用品の通販サイトが「庭の雑草を減らすには」というキーワードで上位を取れていなくても、「薬を使わない除草方法」について丁寧に答えたページを持っていれば、AI Overviewで引用される余地はあるということです。逆に、メインのキーワードで上位にいても、周辺の疑問に答えるページがなければ、AIの回答からは漏れてしまうかもしれません。

ただし、Googleはこの関連検索の中身を公開していません。どんな関連検索が行われているのかを外から確かめる方法はないため、上記はあくまで推測の域を出ない話として受け止めてください。

4-3. それでもSEOが土台である理由

ここまで読むと、「それなら検索順位を気にしなくてもいいのでは」と感じる方もいるかもしれません。けれども、同じ調査結果を別の角度から見ると、やはりSEOが土台であることがわかります。

前述の内訳では、引用されたURLの大半は、100位以内のどこかには表示されていました。つまり、まったく検索エンジンに評価されていないページが引用されることは少ないということです。上位10位にいなくても、検索エンジンからある程度の評価を受けていることが、引用される候補に入るための入り口になっていると読み取れます。

この関係を整理するなら、SEOで評価されることは、AIOで引用されるための「必要条件」に近いものと言えます。ただ、それだけで引用が約束されるわけではなく、「十分条件」とまでは言えません。上位にいるかどうかに加えて、関連する質問に対して答えを示せているか、ほかにはない一次情報があるかといった、AIOならではの視点を重ねていく必要があります。

たとえるなら、SEOは試験を受けるための受験資格のようなもので、AIOは本番で答案の中身を問われる段階にあたります。受験資格がなければ試験を受けられませんが、資格があるだけでは合格できない。前の章で触れた「答えを先に書く」「一次情報を載せる」といった共通施策が、その答案の中身を厚くする役割を担うことになります。

5. AIOはSEOの代わりにならない3つの理由

前の章で見たように、SEOで上位にいてもAIで引用されるとは限りません。そう聞くと「SEOより、これからはAIOに集中したほうがいいのでは」と考えたくなるものです。ここでは、それでもAIOがSEOの代わりにはならない理由を三つの面から説明します。

5-1. 理由1:生成AI機能はコアの検索の仕組みの上にある

一つ目の理由は、仕組みそのものにあります。1章で見たとおり、Googleは、生成AI機能がコアの検索ランキングの仕組みの上に成り立っていると説明しています。AI Overviewに引用される前提として、ページがインデックスされ、検索エンジンに評価されている必要があるわけです。

この前提は、4章で見たデータとも整合しています。AI Overviewに引用されたURLの多くは、上位10位の外から選ばれていたものの、大半は100位以内のどこかには表示されていました。検索エンジンにまったく評価されていないページが、いきなりAIに選ばれるケースは少ないということです。

実務でよく見かけるのが、AIO対策として新しい記事を次々に公開したものの、そもそもその記事がインデックスされていなかった、というつまずきです。Search Consoleのページのインデックス登録状況を開けば、どのページが登録されていて、どのページが除外されているかを確認できます。AIで引用されることを狙うなら、まずこの画面で、狙っているページがきちんと登録されているかを確かめておくべきでしょう。どれほど内容の良い記事でも、検索エンジンに読み込まれていなければ、AIの候補にすら上がらないからです。

AIOに取り組むことは、SEOを置き換えることではなく、SEOで整えた土台を前提に、その上で見え方を工夫することだと捉えるのが自然だと思います。

5-2. 理由2:AI Overviewが表示されない検索も多い

二つ目の理由は、AI Overviewが表示される検索が、全体から見ればまだ一部にとどまっていることです。

SparkToroの調査によると、2026年1〜4月の米国のGoogle検索で、AI Overviewが表示されたのは20%超でした。裏を返せば、大半の検索では、いまも通常の検索結果が主役だということになります。AI検索の話題が増えると、つい「検索はすべてAIに置き換わった」ような印象を持ってしまいますが、少なくともこの調査の範囲では、そこまでの変化は起きていません。なお、これは米国のデータなので、日本での状況が同じとは限らない点も頭に入れておきたいところです。

とくに、社名やサービス名で検索する指名検索や、購入や申し込みにつながる検索では、検索結果での順位が引き続き重要になります。たとえば、ある税理士事務所を知人から紹介された人が、事務所の名前で検索したとしましょう。このとき、公式サイトが一番上に出てこなかったり、古い情報のページが表示されたりすれば、問い合わせの前に不安を感じてしまうかもしれません。こうした検索では、AIがどう答えるかよりも、検索結果に正しいページが出てくるかどうかが成果を左右します。

AIOに力を入れるとしても、こうした検索での足場を崩してしまっては本末転倒です。AI Overviewが出ない検索のほうが多いという事実は、SEOを続ける理由として十分な重みがあると言えます。

5-3. 理由3:戻ってきた人の受け皿はSEOのページ

三つ目の理由は、AIで名前を知ってもらったあとの行動にあります。AIの回答で自社の名前を知った人は、そのあと社名やサービス名で検索して、自社のサイトを訪れることがあります。

サイバーエージェントの調査(2026年8月)では、AIにおすすめされた商品・サービスをさらに検索したことがある人は77.3%でした。AIの回答を読んで終わりにするのではなく、気になったものは自分で検索して確かめる、という行動が広く見られることがわかります。

そのときに受け皿になるのは、トップページやサービスページなど、SEOで整えてきたページです。たとえば、AIに「社内研修向けのオンライン講座を教えて」と聞いた人事担当者が、候補に挙がった会社の名前で検索したとします。ところが、出てきたサービスページの情報が古かったり、料金や申し込み方法がわかりにくかったりすれば、その人はほかの候補へ移ってしまうでしょう。せっかくAIで名前を挙げてもらえても、最後の一歩でつまずいてしまうわけです。

AIOで名前を知ってもらっても、SEOで整えた受け皿がなければ、成果にはつながりません。AIOは認知の入り口を広げる取り組みであり、その先の比較や申し込みを受け止めるのは、これまでSEOで磨いてきたページだという関係を押さえておくと、両者の役割分担が見えやすくなるはずです。

6. SEOとAIO、自社はどちらを優先すべきか|5つの判断基準

ここからが本題です。ここまでの内容を踏まえて、自社がSEOとAIOのどちらに比重を置くべきかを判断するための5つの基準を紹介します。上から順に確認していくと、自社の立ち位置が自然と見えてくるように並べています。手元にSearch Consoleの画面を開きながら読み進めてみてください。

6-1. 基準1:主要なキーワードで上位表示できているか

最初に確認したいのは、自社の事業にとって重要なキーワードで、検索結果の1ページ目に表示できているかどうかです。ここでいう重要なキーワードとは、サービス名+地域、商品カテゴリ、自社の商品で解決できる課題など、実際の問い合わせや購入につながりやすい言葉を指します。

確認の仕方としては、Search Consoleの検索パフォーマンスを開き、主要なキーワードごとの平均掲載順位を見るのが手軽です。あわせて、実際にそのキーワードで検索してみて、どのページが表示されているかも確かめておくとよいでしょう。意図していたサービスページではなく、昔のブログ記事が表示されている、といった発見があるかもしれません。

ここで上位表示できていないなら、SEOを優先するのが基本です。4章で見たとおり、検索エンジンに評価されていないページがAIで引用されることは少ないからです。土台がない状態でAIO向けの工夫を重ねても、その努力が報われにくいと考えられます。

一方、主要なキーワードで上位表示ができているなら、次の基準2に進みます。判断に迷うのは、一部のキーワードでは上位にいるけれど、別の重要なキーワードでは圏外、という場合でしょう。そのときは、売上への影響が大きいキーワードのほうを基準に判断し、そこで上位にいないならSEOを優先する、と考えるのが現実的です。

6-2. 基準2:流入の主力は情報収集型のページか

次に、Search Consoleで、自然検索からの流入が多いページを確認します。検索パフォーマンスの画面で「ページ」のタブを開き、クリック数の多い順に並べてみると、どの種類のページが流入を支えているかがひと目でわかります。

用語解説やノウハウ記事など、情報収集型のページが流入の主力になっている場合は、AIOの比重を上げることを検討します。情報収集型の検索は、AI Overviewやゼロクリック検索の影響を受けやすいためです。ゼロクリック検索とは、検索結果の画面だけで疑問が解決してしまい、どのサイトもクリックされずに終わる検索のことを指します。「〇〇とは」と調べた人がAI Overviewの回答だけで満足すれば、自社の記事はクリックされません。

これに対して、サービスページや比較ページなど、取引に近いページが流入の主力になっている場合は、SEOの比重を維持するのが妥当です。こうしたページを探している人は、最終的に自分の目で中身を確かめたいと考えていることが多く、比較的影響を受けにくい領域だからです。

実際には、両方の種類のページがそれぞれ流入を支えている会社も多いでしょう。その場合は、ページの種類ごとにクリック数の推移を見比べてみてください。情報収集型のページだけが落ちているなら、AIOに目を向ける時期に来ているサインかもしれません。

ゼロクリック検索の影響の確かめ方は、[ゼロクリック検索に関する記事|内部リンク先URL]で詳しく解説しています。

6-3. 基準3:商材の検討期間は長いか

三つ目の基準は、自社の商材の検討期間です。BtoBの商材や高額な商品など、購入までに時間がかかる商材では、ユーザーが比較検討の初期段階でAIに相談する可能性があります。

具体的な場面を思い浮かべてみてください。たとえば、製造業の情報システム担当者が、上司から「生産管理システムの入れ替えを検討してほしい」と頼まれたとします。いきなり各社のサイトを見て回るのではなく、まずはAIに「中小製造業向けの生産管理システムにはどんなものがあるか」と聞いて、候補の当たりをつける。そんな使い方をする人がいても不思議ではありません。

検討期間が長い商材では、AIOの比重を上げることを考えたいところです。候補を挙げる段階で名前が出てこなければ、比較の土俵に乗ることすらできないからです。比較表を作る段階で外れてしまった会社が、あとから候補に入り直すのは簡単ではありません。

一方で、すぐに購入や申し込みが決まる商材であれば、SEOの比重を維持するのが妥当でしょう。たとえば、急な水漏れで修理業者を探している人は、AIにじっくり相談するよりも、検索してすぐに連絡できる業者を選ぶ傾向があります。こうした商材では、検索結果ですぐに見つかり、迷わず問い合わせできることのほうが成果に直結します。

6-4. 基準4:AI検索での現状はどうか

四つ目の基準は、AI検索で自社が今どう扱われているかです。これは数字を眺めるだけではわからないので、実際に手を動かして確かめます。

やり方は難しくありません。自社に関係する質問を、ChatGPTやGemini、AI Overviewで試してみて、自社が挙がるかどうかを確認します。質問は、見込み客が実際に投げそうな言葉で作るのがコツです。たとえば「〇〇市で評判の良い歯科医院は」「経理の業務を効率化できるクラウドサービスを教えて」のように、社名を含まない質問を何パターンか用意しておくと、自社の見え方をつかみやすくなります。

確認の結果、自社が挙がらない、あるいは挙がっていても説明が間違っている場合は、AIOの比重を上げます。説明の誤りは見過ごされがちですが、終了したサービスが紹介されている、所在地が古いままになっている、といった内容がそのまま広まれば、機会を逃すことにもなりかねません。

反対に、自社が正しく挙がっているなら、今の取り組みを続けながら、定期的に確認する形で十分です。2章で触れたとおり、AIの回答は同じ質問でも変わることがあるため、一度の確認で安心せず、日を改めて同じ質問を投げてみてください。その繰り返しの中で、自社の見え方の傾向が見えてきます。

6-5. 基準5:社内の人手はどれくらいあるか

最後に確認したいのが、施策に使える社内の人手です。どれだけ正しい方針を立てても、実行する人がいなければ前に進みません。3章で見たように、SEOとAIOには共通する施策が多くあるので、人手の状況に合わせて範囲を調整するのが現実的です。

人手が少ない場合は、共通する施策に絞って取り組みます。具体的には、一次情報を加えること、答えを先に書くこと、会社情報を整えることの三つです。たとえば、マーケティングの担当者が一人で、広報やWebサイトの更新も兼ねているような会社であれば、新しい取り組みを増やすよりも、既存の主要ページをこの三つの観点で見直すほうが、確実に前に進めるでしょう。

一方で、人手に余裕がある場合は、共通する施策に加えて、AIでの定点確認や、関連する質問に答えるページづくりまで広げていきます。4章で見たクエリファンアウトの考え方を踏まえれば、メインのキーワードだけでなく、その周辺にある疑問に答えるページを用意しておくことには意味があるはずです。

よくあるつまずきが、人手が足りないのにAIO向けの施策まで一度に抱えてしまい、どれも中途半端になるケースです。あれもこれもと広げるより、まず共通施策をやり切るほうが、結果的にSEOとAIOの両方に効いてきます。

7. タイプ別|SEOとAIOの力の入れ方

6章の判断基準をもとに、多くの会社が当てはまる3つのタイプに整理します。自社がどのタイプに近いかを確かめながら読んでみてください。どのタイプにも当てはまりきらない場合は、より近いほうの考え方を軸にしつつ、6章の基準に立ち返って調整するとよいでしょう。

7-1. タイプA:SEOの土台がまだのとき

タイプAは、主要なキーワードでまだ上位表示できていない会社です。6章の基準1で「できていない」に当てはまった場合が、このタイプにあたります。創業して間もない会社や、これまでWebからの集客に本腰を入れてこなかった会社に多く見られます。

このタイプでは、SEOを優先します。サービスページの中身を充実させること、インデックスや技術面を整えること、検索する人の意図に合ったコンテンツをつくることが、取り組みの中心になります。たとえば、地域で学習塾を運営している会社なら、「地域名+学習塾」で検索した保護者が知りたい情報、つまりコースの内容や費用の考え方、教室の雰囲気などが、サービスページできちんと伝わるかを見直すところから始めるイメージです。

一方で、AIOは最小限にとどめます。月に1回、AIで自社が挙がるかを確認する程度で十分でしょう。この段階でAIOに大きく力を入れても、土台がないため成果につながりにくいからです。

ただし、AIOを完全に忘れてよいという意味ではありません。3章で紹介した共通施策、つまり一次情報を載せる、答えを先に書く、会社情報を揃える、インデックスを整えるといった取り組みは、SEOの一環としてそのまま進めてください。そうしておけば、土台ができたときに、AIOへ比重を移す準備も自然と整っていることになります。

7-2. タイプB:SEOは上位だが、情報収集型の流入が減っているとき

タイプBは、上位表示はできているのに、順位が変わらないままクリック数が減っている会社です。6章の基準1で「できている」、基準2で「情報収集型のページが主力」に当てはまった場合が、このタイプにあたります。

最も多くの会社が当てはまるのが、このタイプです。「順位は落ちていないのに、なぜか流入だけが減っている」という悩みは、AI Overviewやゼロクリック検索の影響を受けている可能性を示すサインと考えられます。

このタイプでは、まずAIOの比重を上げます。情報収集型のページで、見出しの直後に答えを示し、自社ならではの一次情報を加えて、AIに引用されることを狙います。たとえば、人事労務のクラウドサービスを提供する会社が「有給休暇の付与日数」という解説記事を持っているなら、制度の一般的な説明に加えて、自社に寄せられる問い合わせの傾向や、現場でよくある勘違いといった、ほかのページにはない視点を書き足していくイメージです。

同時に、SEOでは取引に近いページを守ります。サービスページや比較ページの内容を充実させ、問い合わせや資料請求への導線を見直していきます。情報収集型の流入が減っても、検討段階の人をしっかり受け止められれば、成果への影響を抑えられるはずです。

もう一つ欠かせないのが、KPIの見直しです。PVだけを追っていると、AIOの成果は見えません。指名検索の数やAI経由の流入も、あわせて追いかけるようにしてください。

7-3. タイプC:両方できているとき

タイプCは、上位表示ができていて、AIでも自社がきちんと挙がっている会社です。6章の基準1で「できている」、基準4で「正しく挙がっている」に当てはまった場合が、このタイプにあたります。

このタイプで取り組みたいのは、まず計測の強化です。Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポート、AIでの定点確認、指名検索の推移を定期的に追い、今の状態が続いているかを見守ります。両方できている状態は、放っておいても続くとは限りません。競合が力を入れ始めれば、AIの回答に挙がる顔ぶれはいつのまにか変わっていることもあるでしょう。

そのうえで、競合との差を広げていきます。AIの回答で競合が挙がっている質問を探し、自社の一次情報で対応するページを用意するのが具体的な進め方です。たとえば、自社は挙がっているものの、ある特定の用途についての質問では競合ばかりが紹介されている、という場面があれば、その用途についての自社の知見をまとめたページをつくる、という具合です。

ここまでの三つのタイプを、一つの表にまとめておきます。自社がどの行に当てはまるかを確認する際に使ってみてください。

タイプ状況SEOAIO
ASEOの土台がまだ優先月1回の確認のみ
B上位だが情報収集型の流入が減少取引に近いページを守る比重を上げる
C両方できている維持計測を強化し、差を広げる

なお、「SEOに何割、AIOに何割」という予算配分の比率を示す記事もありますが、その根拠となる調査データは見当たりません。比率を決めて当てはめるより、自社がどのタイプに当てはまるかで判断するほうが、判断を誤りにくくなります。本記事であえて具体的な比率を示していないのは、そのためです。

8. SEOとAIOを両立させる進め方

自社のタイプが見えてきたら、いよいよ実行の段階です。この章では、SEOとAIOを両立させながら進めるための流れを、着手前の記録から見直しまで、四つのステップに分けて紹介します。どのタイプの会社でも、基本の流れは変わりません。

8-1. 着手前の記録

施策を始める前に、まず現状を記録しておきます。この記録が、あとで効果を判断するときの基準になります。

地味な作業に見えるかもしれませんが、ここを省いてしまうと、数か月後に「何がどれだけ変わったのか」を説明できなくなります。担当者の方からよく聞くのが、「施策を始めてから記録を取ろうとしたら、以前の状態がわからなかった」という声です。とくにAIの回答は日によって変わるため、あとから過去の状態を再現することはできません。

記録しておきたいのは、大きく三つの項目です。一つ目は、Search Consoleで確認できる、主要なキーワードの順位、クリック数、表示回数です。二つ目は、社名やサービス名での指名検索の数。そして三つ目が、自社に関係する質問をAIに投げた結果で、自社が挙がったかどうか、挙がった場合に説明が正しいかどうかを残しておきます。

AIの回答を記録するときは、質問文、使ったAIの名前、確認した日付、回答の要点をセットで残しておくと、あとで比べやすくなります。スプレッドシートに一行ずつまとめておくだけでも十分です。回答の画面をそのまま保存しておけば、社内で共有するときにも説得力が増すでしょう。

8-2. 共通の土台を整える

記録が取れたら、3章で紹介した、SEOとAIOの両方に効く施策から着手します。取り組む内容は次のとおりです。

  • 主要なページに一次情報を加える
  • 見出しの直後に答えを書く
  • 会社・サービス情報を整え、表記を統一する
  • インデックスと技術面を確認する

すべてのページを一度に手直しする必要はありません。8-1で記録した主要なキーワードに対応するページや、流入の多いページから順に手をつけていくのが現実的です。限られた人手で進めるなら、まずは数ページに絞って取り組み、手応えを確かめてから範囲を広げていく、という進め方のほうが続けやすいでしょう。

一次情報を加えるといっても、大がかりな調査をする必要はありません。たとえば、リフォーム会社であれば、現場の職人がよく受ける質問や、施工のときに実際に気をつけていることを書き足すだけでも、ほかのページにはない情報になります。社内の営業担当やサポート担当に「お客様からよく聞かれることは何か」と尋ねてみると、記事に使える材料が意外なほど見つかるものです。

会社情報の統一については、会社概要、サービスページ、Googleビジネスプロフィールを並べて見比べ、住所や電話番号、サービス名の表記が揃っているかを確かめます。小さな表記ゆれでも、積み重なると読み手やAIの理解を妨げる原因になりかねません。

8-3. 続けて測り、比べる

共通の土台を整えたら、その効果を継続して測ります。月に1回、8-1で記録した項目を同じ方法で確認し、変化を見ていきます。

ここで大切にしたいのが、SEOの指標とAIOの指標を並べて見ることです。SEOの指標である順位やクリック数と、AIOの指標であるAIでの言及、指名検索、AI経由の流入を一つの表にまとめておくと、施策がどちらにどれだけ効いているのかが見えてきます。たとえば、順位は変わらないのに指名検索が増えている月があれば、AIでの露出が認知につながり始めている可能性を考えることができるでしょう。

注意したいのは、一か月ごとの細かな上下に振り回されないことです。とくにAIでの言及は、2章で見たように回答そのものが揺らぐため、ある月に出ていなかったからといって、すぐに失敗と判断するのは早計です。数か月分の推移を並べて、全体として良い方向に動いているかを見るほうが、判断を誤りにくくなります。

また、確認の方法は毎回揃えておく必要があります。前回とは違う質問文でAIに聞いたり、違う期間でSearch Consoleの数字を見たりすると、比較の意味がなくなってしまうからです。8-1で作った記録の形式を、そのまま使い続けるようにしてください。

8-4. 見直す

測る作業を3か月ほど続けたら、7章のどのタイプに当てはまるかを改めて確認し、力の入れ方を見直します。施策を始めたときの判断が、今も自社の状況に合っているとは限らないからです。

たとえば、最初はタイプAだった会社が、SEOの土台づくりを進めた結果、主要なキーワードで上位に表示されるようになったとします。そうなれば、次は基準2の流入の中身を確認し、情報収集型のページが主力になっていれば、タイプBとしてAIOの比重を上げる段階に入ります。このように、タイプAからタイプBへ移る会社もあるはずです。

反対に、タイプBとしてAIOに力を入れていたものの、気づけば取引に近いページの順位が落ちていた、というケースもあり得ます。その場合は、一度SEOに比重を戻して、受け皿となるページを立て直すほうが先かもしれません。

見直しは、一度で終わるものではありません。検索の仕組みもAIの回答も変わり続けている以上、記録して、整えて、測って、見直すという流れを繰り返すことが、両立を続けていくための現実的な方法だと考えています。

9. SEOとAIO対策の外注|依頼先は分けるべきか

社内の人手だけでは手が回らず、外部の支援会社に依頼することを考える会社も多いでしょう。そのとき迷いやすいのが、SEOとAIOを同じ会社にまとめて頼むか、別々の会社に分けるかという点です。それぞれの場合の考え方と、確認しておきたいことを整理します。

9-1. 1社にまとめる場合

3章で見たように、SEOとAIOには共通する部分が大きくあります。そう考えると、1社にまとめて依頼するほうが効率的な場合が多いでしょう。

まとめるメリットは、大きく二つあります。一つは、施策が重複しないことです。たとえば、一次情報を加える作業や会社情報を整える作業は、SEOとAIOのどちらの文脈でも出てくるため、別々に頼むと同じ作業に二重で費用がかかったり、手順が食い違ったりするおそれがあります。もう一つは、SEOとAIOの指標を一緒に見ながら判断できることです。8-3で紹介したように、順位やクリック数と、AIでの言及や指名検索を並べて見るには、同じ担当者が両方を把握しているほうが話が早いはずです。

社内の窓口にとっても、やり取りの相手が一つで済むのは負担が軽くなります。とくに担当者が一人しかいない会社では、複数の支援会社との調整に時間を取られてしまうと、本来の判断や社内調整に割く時間がなくなってしまうからです。

ただし、依頼先がAIOについての知見を持っているかどうかは、事前に確かめておく必要があります。SEOの実績が豊富な会社でも、AI検索での見え方の確認や改善については、まだ経験が浅いということもあり得ます。どのように確かめればよいかは、9-3で紹介します。

9-2. 分ける場合

すでにSEOの依頼先があり、その関係を続けながら、AIOだけを別の会社に依頼するという選択肢もあります。今の依頼先に満足していて、AIOの知見だけが足りない、という場合には自然な判断でしょう。

この場合に確認しておきたいのが、両社の施策が重ならないか、そして互いに矛盾しないかという点です。たとえば、同じページを両社が別々の方針で書き換えてしまう、といった事態は避けなければなりません。SEOの会社がキーワードを意識して見出しを整えた直後に、AIOの会社が「答えを先に書く」ために同じ箇所を書き換え、結果としてどちらの狙いも中途半端になる。こうした行き違いは、役割分担が曖昧なまま進めると起こりがちです。

避けるための方法としては、どのページをどちらの会社が担当するのかを最初に決めておくことが挙げられます。あわせて、ページを書き換える前には社内の担当者を通して両社に共有する、という流れをつくっておくと安心です。月に一度の報告の場に両社が同席する機会を設けるのも、方針のずれを早めに見つけるうえで役立つでしょう。

いずれにしても、両社のあいだをつなぐのは社内の担当者です。外注に任せきりにせず、全体の方針を社内で握っておくことが、分けて依頼するときの前提になると考えてください。

9-3. 確認すべきこと

1社にまとめる場合も、分ける場合も、依頼先を選ぶ際には次の点を確認しておくと安心です。

  • Googleの公式見解を踏まえているか。Googleが不要としたllms.txtの設置や、構造化データだけを主な施策として提案していないか
  • SEOとAIOの両方の指標で成果を説明できるか。順位だけ、AIでの表示だけ、ではなく、両方を見て判断できるか
  • 社内に知見が残るか。任せきりではなく、自社で判断できる状態をつくってくれるか

一つ目について補足すると、llms.txtとは、AI向けにサイトの概要をまとめたファイルのことで、AIO対策として紹介されることがあります。ただ、Googleはこれを不要としています。提案の中心がこうした施策に偏っていないかは、依頼先の姿勢を見極める手がかりになるはずです。構造化データ(検索エンジンにページの内容を伝えるための記述)も、それ自体が悪いわけではありませんが、それだけを主な施策とする提案には注意が必要でしょう。

二つ目と三つ目は、提案の段階で具体的に質問してみるとわかりやすくなります。「成果はどの指標で報告してもらえますか」「契約が終わったあと、社内で続けるために何が残りますか」と聞いてみて、答えが具体的かどうかを見てみてください。

バクリでは、AI検索での引用状況の可視化から、SEOと組み合わせた施策の設計、社内で続けられる体制づくりまでを一貫して支援しています。

10. SEOとAIOに関するよくある質問

Q1. SEOはもう意味がないのですか?

意味はあります。Googleは、AI Overviewなどの生成AI機能はコアの検索の仕組みの上に成り立っていると説明しています。つまり、AIで引用されるためにも、まず検索エンジンに評価されていることが前提になるわけです。また、米国のGoogle検索でAI Overviewが表示されるのは20%超という調査もあり、大半の検索ではいまも通常の検索結果が主役です。社名やサービス名で検索した人を受け止めるうえでも、SEOの役割は変わっていません。

Q2. SEOとAIOの予算配分は、何対何が目安ですか?

根拠のある比率は、現時点で見当たりません。「SEOに何割、AIOに何割」と示す記事もありますが、その裏付けとなる調査データは確認できていないため、本記事では比率を示していません。それよりも、主要なキーワードで上位表示できているか、流入の主力が情報収集型のページかといった判断基準に沿って、自社がどのタイプに当てはまるかを確かめ、その状況に合わせて決めることをおすすめします。

Q3. AIO対策だけで集客できますか?

難しいと考えられます。AIの回答で自社を知った人は、多くの場合、そのあと社名やサービス名で検索して自社のサイトを訪れます。そこで比較したり、申し込んだりするための受け皿となるページを整えるのは、SEOの役割です。AIOで名前を知ってもらえても、訪れた先のページがわかりにくければ、ほかの候補に移られてしまうかもしれません。AIOとSEOは、入り口と受け皿の関係にあると考えるとわかりやすいでしょう。

Q4. SEOとAIO、どちらが早く効果が出ますか?

サイトの状態や業種によって異なるため、一律には言えません。すでにSEOの土台がある会社と、これから整える会社とでは、同じ施策でも効果の現れ方が変わってくるからです。SEOとAIOには共通する施策が多いため、どちらか一方の効果だけを切り分けて追うよりも、順位やクリック数と、AIでの言及や指名検索を並べて追い、どちらにどれだけ効いているかを確かめていくのが現実的な進め方です。

Q5. 今のSEO会社に、AIO対策も頼めますか?

依頼先がAIOの知見を持っていれば、1社にまとめるほうが効率的な場合が多いでしょう。施策の重複を避けられ、SEOとAIOの指標を一緒に見ながら判断できるからです。依頼する前に、Googleの公式見解を踏まえた提案ができるか、順位だけでなくAIでの言及や指名検索などの指標まで見てくれるかを確認してください。あわせて、社内に知見が残る進め方をしてくれるかも聞いておくと安心です。

11. まとめ|SEOとAIOは、自社のタイプで順番を決める

SEOとAIOは、どちらか一方を選ぶものではありません。生成AI機能はコアの検索の仕組みの上に成り立っており、SEOはAIOの土台です。一方で、SEOで上位のページがそのままAIで引用されるとは限りません。だからこそ判断の軸は「どの順番で、どの程度か」です。SEOの土台がまだならまずSEO、上位なのに情報収集型の流入が減っているならAIOの比重を上げる、両方できているなら計測を強化する。

まずは主要なキーワードの順位と、流入の多いページの種類を確認し、自社がどのタイプかを見極めてみてください。

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