「検索順位は1位のまま。それなのに、クリック数だけが減り続けている」。
Search Consoleを見て、こんな状況に気づいた担当者は少なくないはずです。リライトをしても、内部リンクを見直しても数字が戻らず、原因がつかめないままの方も多いかもしれません。
原因として真っ先に疑われるのが、AI Overview(AIによる概要)です。検索結果の最上部にAIの回答が表示されると、ユーザーはそこで疑問を解決し、どのページも開かずに検索を終えてしまいます。Ahrefsの最新調査では、日本でもAI Overviewが表示されると、検索1位のクリック率が予測より6割以上低くなっていました。
本記事では、AI Overviewでクリック率が下がる仕組みと最新データを整理したうえで、自社の流入減がAI Overviewのせいかを確かめる方法、そしてクリック率が下がったときに取るべき対策6つを解説します。数字の読み方や社内への報告の仕方にも触れているので、上司への説明に悩んでいる方にも役立てていただけるはずです。
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目次
- 1 1. AI Overviewでクリック率が下がる仕組み
- 2 2. AI Overviewでクリック率はどれくらい下がるのか|日本と米国の最新データ
- 3 3. 下がるだけではない|AI Overviewのクリック率に見えてきた回復と「引用」の差
- 4 4. AI Overviewでクリック率が下がりやすいキーワード・下がりにくいキーワード
- 5 5. クリック率の低下がAI Overviewのせいか確かめる方法
- 6 6. AI Overviewでクリック率が下がったときの対策6つ
- 7 7. AI Overviewに引用されやすいページの特徴
- 8 8. AI Overviewから外すべきか|表示を制限する方法と注意点
- 9 9. AI Overview時代のクリック率の見方と、社内への報告の仕方
- 10 10. AI Overviewとクリック率に関するよくある質問
- 11 11. まとめ|AI Overviewでクリック率が下がったら「引用される側」に回る
1. AI Overviewでクリック率が下がる仕組み

1-1. AI Overviewとは
AI Overview(AIによる概要)は、Googleの検索結果の上部に、生成AIがまとめた回答を表示する機能です。回答の横や下には、情報源となったページへのリンクが表示されます。ユーザーから見れば、いくつものページを開いて読み比べなくても、要点を先に受け取れる仕組みと言えるでしょう。
一方で、サイトを運営する側にとっては事情が少し変わります。自社のページが情報源として使われても、回答の中で用が済めば、ユーザーがページまで来てくれるとは限りません。反対に、情報源のリンクとして自社の名前が表示されれば、これまでとは違う形で読者の目に触れる機会にもなります。AI Overviewは流入を奪う存在であると同時に、名前を知ってもらう場にもなり得るわけです。
このように、AI Overviewをはじめ、AI検索全体で自社が引用・紹介される状態をつくる取り組みがAIOです。検索結果の中だけでなく、各種の生成AIでの扱われ方まで含めて考える点が、従来のSEOとの大きな違いになります。バクリでは、AIOを以下のように定義しています。
AIOの定義
主な対象:AI Overview+各種生成AI(AI検索全般)
目的:AI Overview対策とLLM対策(その他AI対策)を合わせた総称。AI検索全体で引用・紹介される状態をつくること
本記事で扱うのは、このうちAI Overviewとクリック率の関係です。次の項からは、なぜクリック率が下がるのかを、答えの出し方と画面の構成という2つの面から見ていきます。
1-2. 検索結果の上部で答えが完結する
AI Overviewは、ユーザーの質問に対して、複数のページの情報をまとめた答えを表示します。「〇〇とは」「〇〇のやり方」のような質問なら、AI Overviewを読むだけで用が足りてしまうことも少なくありません。
たとえば、BtoBのマーケティング担当者が「リードナーチャリングとは」と検索した場面を考えてみてください。知りたいのは言葉の意味と大まかな考え方で、上部の回答を数行読めば、会議で話す程度の理解は得られます。わざわざ下にスクロールして、どれかのページを開く理由がなくなってしまうのです。ユーザーにとっては便利な変化ですが、その用語を解説する記事を用意してきたサイトから見ると、読まれるはずだった機会が検索結果の中で消えていることになります。
この結果、検索結果のどのリンクもクリックされずに検索が終わる「ゼロクリック検索」が増えます。とくに、答えが短くまとまる質問ほど、この傾向は強く表れます。どんなキーワードが影響を受けやすいのかは、4章であらためて整理しましょう。ゼロクリック検索の全体像は、[ゼロクリック検索に関する記事|内部リンク先URL]で詳しく解説しています。
1-3. 1位のリンクが下に押し下げられる
もうひとつの理由は、画面の構成です。AI Overviewは検索結果の最上部に大きく表示されるため、これまで1位だったページのリンクが、画面の下のほうへ押し下げられます。スマートフォンでは、スクロールしないと1位のリンクが見えないこともあります。
検索結果を眺めるとき、多くのユーザーは上から順に目を走らせ、最初に目に入った情報で判断します。以前なら真っ先に目に入っていた1位のリンクが、今はAI Overviewの回答を読み終えたあとに、ようやく現れる位置にある。回答で満足した人は、そこまで視線を下ろしません。
つまり、順位は1位のまま変わらないのに、ユーザーの目に入りにくくなる。これが「順位は同じなのにクリックが減る」現象の正体です。
現場でよく聞くのが、「順位レポートでは何も起きていないのに、流入だけが減っている」という戸惑いです。順位ツールが示すのは検索結果のリンクの並び順であって、画面上でどれだけ目立つ位置にあるかまではわかりません。順位と見え方のずれを頭に置いておくと、次の章で紹介するデータも読みやすくなるはずです。
2. AI Overviewでクリック率はどれくらい下がるのか|日本と米国の最新データ

では、実際にどれくらいクリック率が下がっているのでしょうか。この章では、Ahrefsが公表した日本と米国の最新データを紹介し、あわせて社内で引用するときに誤解されやすい数字の読み方を確認します。
2-1. 日本:検索1位でも予測より62.7%低い
SEOツールを提供するAhrefsが2026年7月に公表した調査によると、日本の情報収集型キーワードで、AI Overviewが表示された検索の1位のクリック率は、2026年6月時点で9.0%でした。情報収集型キーワードとは、「〇〇とは」のように、何かを調べたり理解したりするために検索される言葉のことです。
AI Overviewがなかった場合に得られたはずのクリック率(予測値)は24.1%。実測値はそれより62.7%低い結果です。米国では、同じ方法で計算した低下率は68.8%でした。
| 項目 | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
| AI Overviewなしの1位のCTR(2026年6月) | 31.7% | 28.5% |
| AI Overview表示時の予測CTR(2026年6月) | 24.1% | 14.4% |
| AI Overview表示時の実測CTR(2026年6月) | 9.0% | 4.5% |
| 低下率 | −62.7% | −68.8% |
表は、上から順に3つのクリック率を追っていくと整理しやすくなります。いちばん上の行は、AI Overviewが表示されない検索での1位のクリック率です。2行目の予測CTR(CTRはクリック率のこと)は、AI Overviewが表示される検索で、本来なら得られたと見込まれる値を指します。そのうえで3行目の実測値と比べた結果が、最下行の低下率というわけです。
日本は米国より影響が小さいのでは、と考えていた方もいるかもしれません。たしかに実測値だけを見れば、日本の9.0%は米国の4.5%を上回っています。けれども、予測値からの落ち込み方を示す低下率では、日米ともに6割を超えていました。日本でも同じ流れが起きていると受け止めたほうが自然でしょう。
2-2. 低下幅は半年で拡大している
同じ調査で、2025年12月時点の低下率は、日本で−38%、米国で−58%でした。半年で、日本では24.7ポイント、米国では10.8ポイント悪化しています。
見過ごせないのは、日本のほうが悪化の幅が大きいことです。半年前の時点では、日本は米国ほど影響を受けていないように見えていました。その差がこの半年で縮まり、日本も米国に近い水準へ近づいてきたと読むことができます。「うちはまだ大丈夫」と様子を見ていたサイトほど、ここ最近の数字の変化に驚いているのではないでしょうか。
Ahrefsは米国について、ほかにも複数回の調査を公表しており、2025年4月の調査では34.5%、2026年2月の調査(デスクトップ)では58%の低下としていました。調査ごとに対象や方法が少しずつ異なるため、単純に1本の推移として並べることはできません。それでも、調査を重ねるごとに、低下幅が大きく出ていることは確かです。
ここで気をつけたいのが、別々の調査の数字をつなげてグラフにしてしまうことです。対象のキーワードや端末が違えば、同じ「低下率」でも意味が少しずつ変わってきます。社内資料で推移を示したい場合は、同じ調査の中での比較(今回なら2025年12月と2026年6月)にとどめ、ほかの調査は傾向を裏づける材料として添える程度にしておくと安全です。
2-3. 数字の読み方|予測クリック率との比較
ここで注意したいのは、62.7%という数字の意味です。これは「AI Overviewが出る前と後のクリック率を比べた」ものではありません。
Ahrefsは、AI Overviewが表示されない検索の1位のクリック率の推移から、「AI Overviewがなければこのくらいだったはず」という予測値を出し、それと実測値を比べています。予測は過去の傾向が続くという仮定にもとづいており、対象のキーワード数も公開されていません。
この違いは、社内で数字を使う場面で効いてきます。たとえば、上司から「うちのクリック率も6割下がるということか」と聞かれたとき、そのまま「はい」と答えてしまうと、数字の意味を取り違えたまま話が進んでしまいます。62.7%は、自社サイトの前後比較でも、すべてのキーワードの平均でもありません。予測値という仮定を置いたうえでの、情報収集型キーワードにおける傾向です。
逆に、仮定があるからといって「当てにならない数字」と切り捨てるのも早計でしょう。予測の方法に限界はあっても、AI Overviewが表示される検索とそうでない検索の間に大きな差が出ていることは、次の章で紹介する別の調査とも食い違いません。
社内で引用するときは、「AI Overviewが表示される情報収集型のキーワードでは、1位でもクリック率が大きく下がる傾向がある」という傾向を示すデータとして使うのが適切です。
3. 下がるだけではない|AI Overviewのクリック率に見えてきた回復と「引用」の差

ここまでの話だけを見ると、AI Overviewはクリック率を下げる一方の存在に思えるかもしれません。ただ、別の調査からは少し違った姿も見えてきます。この章では、回復の兆しと、引用の有無による差を示すデータを紹介します。
3-1. 2026年に入って回復の兆し
一方で、別の調査では、クリック率の回復を示すデータも出ています。
米国のマーケティング会社Seer Interactiveは、53ブランド・約547万クエリのSearch Consoleのデータを分析し、2026年4月に結果を公表しました。それによると、AI Overviewが表示された検索のオーガニックのクリック率は次のように推移しています。オーガニックとは、広告枠を除いた通常の検索結果のことです。
| 時期 | AI Overviewあり | AI Overviewなし |
|---|---|---|
| 2025年1月 | 3.19% | 2.75% |
| 2025年12月 | 1.31% | 3.16% |
| 2026年1月 | 2.33% | 3.88% |
| 2026年2月 | 2.36% | 3.82% |
表の左の列を上から追うと、AI Overviewが表示された検索のクリック率は、2025年1月から12月にかけて大きく落ち込んでいます。2025年12月に底を打ち、2026年に入って持ち直している様子が読み取れるでしょう。ただし、右の列と見比べるとわかるように、AI Overviewがない検索との差は依然として大きいままです。
2章のAhrefsのデータと並べると、印象が違って見えるかもしれません。ただ、Ahrefsは情報収集型キーワードでの検索1位のクリック率を、Seer Interactiveは各ブランドのSearch Consoleのデータをもとにしたクリック率を見ており、対象も集計の方法も異なります。どちらが正しいかを決めるよりも、「低下は大きいが、底を打った可能性もある」という2つの面を、あわせて押さえておくのが現実的ではないでしょうか。
3-2. 引用されたブランドと、されなかったブランドの差
同じ調査では、AI Overviewの中で自社が引用されたかどうかで、クリック率を分けて集計しています。2025年を通じて、引用されたブランドのクリック率は、引用されなかったブランドの2〜5倍でした。
たとえば2025年12月は、引用ありが0.95%、引用なしが0.55%でした。前の項で底と見た時期にも、引用の有無によってクリック率に差が出ていたことになります。
なぜ引用されると、クリックにつながりやすいのか。理由のひとつとして考えられるのは、ユーザーの視線の動きです。AI Overviewの回答を読んだユーザーが、もう少し詳しく知りたいと思ったとき、まず目に入るのは、回答の中で情報源として示されたリンクでしょう。1章で見たように押し下げられた検索結果の1位よりも、回答のすぐそばにあるリンクのほうが、次の行動の候補になりやすいと考えられます。
AI Overviewが表示される検索では、引用されることが、クリックを得るための条件になりつつあるといえます。順位を上げることと並んで、回答の中に自社の名前が出るかどうかを確かめる必要が出てきたわけです。この視点は、6章の対策や9章の報告の指標にもつながっていきます。
3-3. データの限界
この調査にも限界があります。対象は53ブランドに限られ、2026年のデータは2か月分しかありません。また、引用されたブランドのクリック率が高いのは、もともと評価の高いブランドが引用されやすいためかもしれず、引用がクリック率を上げたという因果関係を示したものではありません。
それぞれの限界が何を意味するのか、少し補っておきます。53ブランドという対象は、業種や規模の違いを十分に反映できるほど広いとは言えません。自社と似た業種が含まれているかどうかもわからないため、結果をそのまま自社に当てはめるのは避けたほうがよいでしょう。2026年のデータが2か月分しかない点も、回復が一時的なものか、続いていく流れなのかを判断するにはまだ早いことを示しています。
因果関係については、とくに誤解が生まれやすいところです。「引用されればクリック率が上がる」と社内で説明してしまうと、引用されたのに数字が伸びなかったとき、施策そのものが疑われかねません。
それでも、「AI Overviewが出たら終わり」ではなく、引用される側に回れば、差がつく余地があることは読み取れます。過度に期待せず、かといって悲観しすぎない。この距離感で数字を扱うことが、次の章以降の対策を考えるうえでの土台になります。
4. AI Overviewでクリック率が下がりやすいキーワード・下がりにくいキーワード

AI Overviewの影響は、すべてのキーワードに同じように表れるわけではありません。自社のどのページが影響を受けやすいかを見極めるために、キーワードの種類ごとの違いを整理しておきます。
4-1. 下がりやすい:情報収集型のキーワード
Ahrefsの調査が対象にしたのも、情報収集型のキーワードでした。「〇〇とは」「〇〇 意味」「〇〇 やり方」のように、答えが短くまとまるキーワードほど、AI Overviewで用が足りてしまい、クリック率が下がりやすくなります。
こうしたキーワードで検索するユーザーは、多くの場合、まず全体像をつかみたいと考えています。AI Overviewは複数のページから要点を集めて答えを組み立てるため、全体像をつかむという目的には、ページを1つずつ開くよりも手早く応えられてしまうのです。
オウンドメディアを運営している企業なら、用語解説や基礎知識の記事がこのタイプに当たることが多いでしょう。集客の入り口として数多く用意してきた記事ほど、影響を受けやすいという点は意識しておきたいところです。1章で見た「答えが上部で完結する」現象が、もっとも起きやすい領域と言い換えることもできます。
ただし、情報収集型だからといって、記事の価値がなくなるわけではありません。AI Overviewの情報源として引用されれば名前は表示されますし、その記事から関連するサービスのページへ読者を案内する役割も残ります。クリック率の数字だけで、記事の要・不要を判断しないようにしてください。
4-2. 下がりにくい:比較・取引型のキーワード
「〇〇 料金」「〇〇 申し込み」「〇〇 見積もり」のように、ユーザーが具体的な行動を取ろうとしているキーワードでは、最終的にサイトを訪れる必要があります。申し込みや見積もりの依頼は、検索結果の画面だけでは完結しないからです。Seer Interactiveの調査でも、AI Overviewが表示される頻度は、検索の意図によって大きく異なるとされています。
たとえば、地方で工務店を営む方のサイトを考えてみましょう。「〇〇 外壁塗装 見積もり」で検索した人は、すでに依頼先を探している段階にいます。AI Overviewで費用の考え方を知ったとしても、実際に見積もりを頼むには、どこかの会社のページを開かなければなりません。
比較・検討型のキーワードは、その中間に位置づけられます。「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」で検索するユーザーは、AI Overviewで候補をある程度絞り込んだうえで、気になったサービスのページを開くことが多いでしょう。4-3の後の表で影響を「中程度」としているのは、概要はAIで済ませつつも、最終的な判断のためにサイトを訪れる動きが残るためです。
4-3. 下がりにくい:指名・地域のキーワード
社名やサービス名での検索は、ユーザーがそのサイトを訪れることを目的にしているため、影響を受けにくい領域です。地域に関する検索も、地図や店舗の情報が中心になるため、AI Overviewの影響は相対的に小さいと考えられます。
指名検索とは、社名やサービス名など、特定の名前を指定して行われる検索のことです。こうした検索をするユーザーは、すでに行き先を決めています。公式サイトを開くことが目的なので、AI Overviewに説明が表示されても、そこで検索を終える理由はあまりありません。
地域の検索も、同じように考えられます。たとえば、〇〇市で整体院を探している人が知りたいのは、場所や営業時間、予約の方法といった具体的な情報でしょう。一般的な知識をまとめた回答よりも、その店舗そのものの情報が求められているわけです。
ここまでの内容を、キーワードの種類ごとにまとめると次の表のようになります。自社のSearch Consoleで流入の多いクエリを書き出し、どの種類に当てはまるかを分けてみると、影響の大きさの見当がつきやすくなるはずです。
| キーワードの種類 | 例 | クリック率への影響 |
|---|---|---|
| 情報収集型 | 〇〇とは、〇〇 やり方 | 大きい |
| 比較・検討型 | 〇〇 比較、〇〇 おすすめ | 中程度 |
| 取引型 | 〇〇 料金、〇〇 申し込み | 小さい |
| 指名・地域 | 社名、〇〇市 〇〇 | 小さい |
5. クリック率の低下がAI Overviewのせいか確かめる方法

自社のクリック率が下がっていても、それがAI Overviewのせいだとは限りません。ここでは、Search Consoleと実際の検索結果を使って、原因を4つのステップで確かめる方法を紹介します。
5-1. STEP1|Search Consoleで順位とクリック率を並べる
Search Consoleの「検索パフォーマンス」で、クエリごとに平均掲載順位とクリック率を表示します。平均掲載順位がほぼ変わらないのに、クリック率だけが下がっているクエリが、AI Overviewの影響を受けている候補です。
具体的には、検索パフォーマンスの画面上部にある指標のうち、「平均CTR」と「平均掲載順位」を有効にし、下の表を「クエリ」のタブに切り替えます。これで、クエリごとの表示回数、クリック数、クリック率、順位を一覧で見られるようになります。表示回数の多いクエリから順に見ていけば、影響の大きいものを先に拾えるでしょう。
判断に迷うのは、順位が少しだけ下がっているクエリです。順位のわずかな低下に対してクリック率が大きく下がっている場合は、順位の変化だけでは説明しきれず、AI Overviewの影響も疑ってよいと考えられます。反対に、順位が大きく落ちているなら、まずはそちらの原因を探るのが先です。
この段階の目的は、あくまで「候補」を絞り込むことにあります。最初から白黒をつけようとせず、怪しいクエリを少し多めに拾っておくくらいでかまいません。次のSTEP2とSTEP3で、候補を順にふるいにかけていきます。
5-2. STEP2|前年同期と比べる
検索数やクリック率には季節による変動があるため、前月比ではなく、前年同期と比較します。
たとえば、税金や補助金に関するキーワードは、申告や申請の時期になると検索が増え、時期を過ぎると落ち着きます。こうした季節の波があるキーワードを前月と比べると、AI Overviewとは関係のない落ち込みまで「影響」に見えてしまうわけです。
Search Consoleでは、期間の設定で「比較」を選ぶと、2つの期間の数字を並べて表示できます。STEP1で拾ったクエリについて、直近の期間と前年の同じ期間を比べ、順位は同じくらいなのにクリック率だけが下がっているかを確かめてください。
ひとつ注意したいのは、前年同期の時点で、すでにAI Overviewが表示されていた可能性があることです。その場合、前年と比べても差が小さく出ることがあります。前年から大きな変化がないからといって、影響がないとは言い切れません。STEP3で実際の画面を確かめる理由のひとつは、ここにあります。
5-3. STEP3|実際に検索して確かめる
候補のクエリを、実際にGoogleで検索します。AI Overviewが表示されているか、表示されている場合、自社のページが引用されているかを確認してください。AI Overviewの表示は変わることがあるため、日を改めて何度か確認すると確実です。
確認するときは、パソコンとスマートフォンの両方で見ておくと、1章で触れた「1位のリンクがどこまで押し下げられているか」も把握できます。スマートフォンでは、AI Overviewの下に1位のリンクが隠れてしまうことがあるからです。数字の上では同じ1位でも、端末によって見え方はかなり違ってきます。
記録の残し方も、最初に決めておくとあとで役立ちます。検索した日付、AI Overviewの有無、引用の有無、引用されていた場合はどのページだったかを、スプレッドシートなどに書き留めておくとよいでしょう。画面のスクリーンショットを添えておけば、社内で説明するときの材料にもなります。
この記録は、9章で紹介する報告の指標にもそのままつながります。日を改めて確認するときも、同じクエリを同じ形式で記録しておけば、表示の変化を追いやすくなるはずです。
5-4. STEP4|生成AIパフォーマンスレポートで表示回数を見る
Search Consoleの「生成AIパフォーマンスレポート」では、AI OverviewやAIモードに自社のページへのリンクが表示された回数を、ページごとに確認できます。2026年8月31日に、世界中のすべてのサイト向けに提供が始まりました。AIモードとは、Googleの検索で、AIと対話するように調べものができる機能のことです。
ただし、生成AI機能での表示回数が十分でないサイトには表示されません。また、確認できるのは表示回数で、クリック数や検索クエリは確認できません。
この制約を踏まえると、レポートの役割ははっきりします。どのページがどれくらいAI機能に使われているかを、サイト全体で見渡すための道具です。一方で、「このクエリのクリック率が下がったのはAI Overviewのせいか」という問いには、このレポートだけでは答えられません。
そこで、STEP1〜3と組み合わせて使ってください。たとえば、STEP1でクリック率の低下が見つかったページが、このレポートで表示回数の多いページと重なっていれば、AI Overviewの影響を受けている可能性は高いと考えられます。レポート自体が表示されないサイトの場合は、STEP3の実際の検索による確認が中心になるでしょう。
6. AI Overviewでクリック率が下がったときの対策6つ

原因がAI Overviewにあるとわかったら、次は打ち手です。この章では、クリック率が下がったときに取るべき対策を6つ紹介します。すぐに取りかかれるものから、計測の考え方を変えるものまで含めているので、自社の状況に合わせて優先順位をつけてみてください。
6-1. 対策① 引用される側に回る
6つの中で、中心に据えたい対策です。3章で見たように、AI Overviewの中で引用されたブランドは、引用されなかったブランドより高いクリック率を示していました。
AI Overviewが表示される検索では、順位を1つ上げても、画面の上部をAIの回答が占める状況は変わりません。そこでクリックを得ようとするなら、回答の中に入り込む道を探すことになる。これがこの対策の考え方です。押し下げられた1位のリンクよりも、回答の中で示される情報源のリンクのほうが、ユーザーの目に入りやすいからです。
ただし、3章で触れた因果関係の問題は忘れないでおきたいところです。引用されればクリック率が上がる、と言い切ることはできません。引用は「差がつく余地」をつくる手段であり、そのうえでクリックしたくなる理由をページの側に用意する必要があります。対策②と③は、そのための取り組みです。
見出しの直後に答えを書く、一次情報を載せるなど、引用されやすいページの特徴は7章で詳しく解説します。まずは自社の主要なキーワードで、今どのページが引用されているのかを確かめるところから始めるとよいでしょう。
6-2. 対策② タイトルと説明文で「開く理由」を示す
AI Overviewで概要を知ったユーザーが、それでもクリックしたくなるのはどんなときか。「AIの回答では得られない何か」がありそうなときです。
その「何か」は、大きく3つに分けられます。1つは、具体的な事例や、自社の調査データがあること。もう1つは、比較表やチェックリスト、テンプレートなど、手元で使えるものがあること。そして、業種や規模、置かれた状況など、特定の読者に向けた内容であることです。
これらがタイトルや説明文から伝わるようにします。たとえば「〇〇とは」の記事なら、言葉の意味を説明するだけのタイトルでは、AI Overviewの回答と差がつきません。「中小企業向け」「テンプレート付き」のように、誰のための記事で、何が手に入るのかが一目でわかる言葉を加えると、開く理由が伝わりやすくなります。
よくあるつまずきは、タイトルで約束した中身が、実際のページにないケースです。テンプレート付きと書いておきながら、ページには簡単な例しかなければ、読者はすぐに離れてしまうでしょう。タイトルと説明文の見直しは、次の対策③とセットで進めるのが現実的です。
6-3. 対策③ ページでしか得られない価値を置く
タイトルで約束した価値を、ページの中で確実に提供します。計算ツール、比較表、写真や図解、ダウンロードできる資料など、AI Overviewの短い要約では伝えきれない情報は、クリックの理由になります。
なぜこうしたものが効くのか。AI Overviewが得意とするのは、文章の要点を短くまとめることだからです。自分の条件を入力して結果を出す計算ツールや、複数の選択肢を細かく見比べる表、実物の様子がわかる写真は、要約してしまうと価値が失われます。読者がそれを使いたいと思えば、ページを開くしかありません。
とはいえ、すべての記事にツールや資料を用意するのは現実的ではないでしょう。そこで、4章で整理したキーワードの種類と照らし合わせ、流入が多く、かつクリック率の落ち込みが大きいページから優先して手を入れるのがおすすめです。
たとえば、BtoB向けのサービスを提供する企業で、「〇〇 選び方」の記事のクリック率が落ちているというケースを考えてみます。選び方の要点はAI Overviewで足りてしまうとしても、自社の状況を書き込める比較シートを記事内でダウンロードできれば、それを目当てにページを開く読者は残るはずです。
6-4. 対策④ 名前を残して指名検索につなぐ
AI Overviewで引用されたとき、ユーザーの記憶に残るのはクリックではなく名前です。サービス名や独自の調査・手法の名前を覚えやすくし、ページの中でも自然に示すことで、あとから社名やサービス名で検索してもらえる可能性が高まります。
この対策の背景には、4章で見た「指名検索はAI Overviewの影響を受けにくい」という性質があります。情報収集型のキーワードでクリックを得られなくても、そこで名前を知った人があとから指名で検索してくれれば、影響の小さい経路で読者を迎えられるわけです。
実務では、まず自社の調査や手法に、覚えやすい呼び名がついているかを見直してみてください。「当社の調査では」と書くより、調査に名前をつけて繰り返し使うほうが、読者の記憶に残りやすいと考えられます。ただ、ページの中で何度も社名を押し出すと、宣伝色が強く映ってしまいます。本文の流れの中で、必要な場面にだけ自然に示すくらいがちょうどよいでしょう。
成果の確かめ方も変わります。この対策の効果が表れるのは、クリック率よりも指名検索の数です。Search Consoleで社名やサービス名を含むクエリの推移を追っておくと、取り組みの手応えをつかみやすくなります。
6-5. 対策⑤ 取引に近いページを守る
4章で見たとおり、料金や申し込み、比較のページはAI Overviewの影響を受けにくい領域です。情報収集型のページのクリック率が下がっても、取引に近いページの順位と内容を守れば、事業への影響は抑えられます。限られた人手は、まずこちらに振り向けるのが賢明です。
流入が減ると、つい落ちた記事のリライトに手をつけたくなるものです。ところが、売上や問い合わせに直接つながっているのは、料金ページや事例ページ、問い合わせフォームの手前にあるページであることが少なくありません。情報収集型の記事の流入を取り戻そうと人手を割いているあいだに、取引に近いページの更新が止まってしまう。現場では、意外とよく見かける状況です。
守るといっても、特別なことをするわけではありません。料金や仕様の情報が古くなっていないか、問い合わせまでの導線がわかりにくくなっていないか、比較される競合と並べたときに判断材料が足りているか。こうした基本の点検を、定期的に続けることが中心になります。
情報収集型の記事は、ここへ読者を送り出す入り口として位置づけ直すと、役割がはっきりします。記事の中に料金や事例のページへの案内が自然に置かれているかも、あわせて見直してみてください。
6-6. 対策⑥ KPIを変える
順位とクリック率だけで成果を判断していると、「何をやっても数字が戻らない」状態に陥ります。KPIとは、目標の達成度を測るために追いかける指標のことです。
AI Overviewが上部に表示される限り、どれだけページを改善しても、クリック率が以前の水準まで戻るとは限りません。それなのに評価の物差しが変わらなければ、担当者は成果の見えない施策を続けることになり、社内での評価も下がってしまいます。施策の良し悪しより先に、物差しのほうが実態に合わなくなっているのです。
9章で紹介するように、AI Overviewでの表示回数や引用の有無、指名検索の数など、AI Overview時代に合った指標を加えてください。ここで「置き換える」ではなく「加える」としているのには理由があります。順位やクリック率は、AI Overviewの影響を切り分けるためにも必要な数字だからです。これまでの指標と新しい指標を並べて見ることで、何が起きているのかを説明しやすくなります。
指標を変えるときは、上司や関係部署と事前にすり合わせておくことも欠かせません。報告の途中で急に物差しを変えると、都合のいい数字を探しているように受け取られるおそれがあります。変える理由として、2章や3章で紹介した外部データを添えておくと、話が通りやすくなるでしょう。
7. AI Overviewに引用されやすいページの特徴

6章では、対策の中心に「引用される側に回る」ことを挙げました。では、AI Overviewに引用されやすいのは、どんなページなのでしょうか。Googleの公式な説明と外部の調査をもとに、4つの特徴を整理します。
7-1. 表示の前提条件を満たしている
Googleは、AI OverviewやAIモードで情報源として表示されるための条件として、ページがインデックスされ、スニペット付きで検索結果に表示できる状態であることを挙げています。それ以外に、特別な技術的な要件や、AI専用のファイル、特別な構造化データは必要ないとしています。インデックスとは、Googleがページを読み込み、検索結果に表示できるよう登録した状態のこと。スニペットは、検索結果でタイトルの下に表示される説明文を指します。
つまり、まずは通常のSEOの基本を満たしていることが前提です。
AI対策と聞くと、何か新しい技術的な仕掛けが必要だと考える方も多いかもしれません。実際、「AI向けに特別なファイルを置いたほうがいいのか」「専用の構造化データはあるのか」といった相談を受けることもあります。けれども、Googleの説明を見る限り、まず確かめるべきなのは、引用されたいページがきちんとインデックスされているか、スニペットを制限する設定が入っていないか、という基本の部分です。
確認の手順としては、Search Consoleの「URL検査」で対象のページを調べ、インデックスに登録されているかを見るのが手早いでしょう。あわせて、8章で紹介するnosnippetなどの指定がページに入っていないかも確かめておきます。こうした指定は、AI Overviewだけでなく通常の検索結果のスニペットにも影響するためです。
7-2. 答えが明確に書かれている
AI Overviewは、質問への答えを組み立てるために、ページから該当する部分を探します。見出しの直後に、その見出しへの答えが1〜2文で書かれているページは、読者にもAIにも伝わりやすくなります。
逆に、見出しのあとに前置きや背景の説明が長く続き、答えが段落の終わりにようやく出てくる書き方は、どこが答えなのかがわかりにくくなります。SEO記事でよく見かける「〇〇について解説する前に、まずは〜」という書き出しは、このパターンに当てはまりがちです。
たとえば、「〇〇の費用はどれくらいか」という見出しなら、その直後に費用の目安や決まり方を1〜2文で示し、そのあとに内訳や条件の説明を続けます。答えを先に置いたからといって、詳しい説明を省く必要はありません。順番を入れ替えるだけでも、伝わり方は変わってきます。
既存の記事を見直すときは、見出しだけを順に読み、それぞれの直後の1〜2文が答えになっているかを確かめてみてください。答えになっていない見出しが見つかったら、本文の中から答えに当たる文を探し、冒頭に移すところから始めると手間がかかりません。
7-3. 関連する問いにも答えている
Ahrefsの別の調査(2026年3月)では、AI Overviewに引用されたURLのうち、同じ検索で上位10位にも入っていたのは約38%でした。AI Overviewは、入力された検索語だけでなく、AIが内部で生成する関連した検索の結果からも情報源を選んでいる可能性があると指摘されています。
裏を返せば、残りのURLは、その検索語での上位10位の外から選ばれていたことになります。検索語そのもので上位にいなくても、関連する問いへの答えとして引用される余地がある、ということです。
そのため、メインの問いだけでなく、読者が次に抱きそうな関連する問いにも答えているページは、引用の候補になりやすいと考えられます。
具体的には、記事のテーマについて、読者がその次に知りたくなることを書き出してみるとよいでしょう。たとえば「〇〇とは」の記事なら、「〇〇の費用は」「〇〇と△△の違いは」「〇〇を始めるときの注意点は」といった問いが続きそうです。これらに短くでも答える見出しを用意しておけば、記事が応えられる範囲が広がります。ただし、関係の薄い問いまで詰め込むと、記事の焦点がぼやけてしまいます。同じ読者が続けて抱きそうな問いに絞るのがコツです。
SEO上位と引用のずれについては、[SEOとAIOの違いに関する記事|内部リンク先URL]で詳しく解説しています。
7-4. 一次情報がある
Googleは生成AI機能向けの公式ガイドで、独自で有用なコンテンツが、生成AI機能での露出に最も長期的な影響を与えると述べています。自社の調査データ、事例、現場の知見など、ほかのページにはない情報があることが、引用される理由になります。一次情報とは、自社で集めたデータや、自ら体験・観察したことにもとづく情報のことです。
AI Overviewは、複数のページの情報をまとめて回答をつくります。どのページにも書かれている一般的な説明であれば、情報源はどこでもかまわないことになるでしょう。反対に、そのページにしかない情報があれば、AIがその内容に触れるとき、情報源として示されやすくなると考えられます。
「うちには調査データなんてない」と感じる担当者の方もいるかもしれません。ただ、一次情報は大がかりな調査に限りません。たとえば、現場の担当者がよく受ける質問とその答え、導入の際につまずきやすい点、実際の作業の手順といった知見も、ほかのページにはない情報になり得ます。社内の営業担当やサポート担当に話を聞いてみると、記事にできる材料が意外と見つかるものです。
一次情報は、6章で紹介した対策③「ページでしか得られない価値を置く」とも重なります。引用される理由と、クリックされる理由を同時につくれるという点で、取り組む意味の大きい要素と言えるでしょう。
8. AI Overviewから外すべきか|表示を制限する方法と注意点

AI Overviewに内容を使われてクリックが減るなら、いっそ表示されないようにしたほうがよいのではないか。そう考える方もいるでしょう。この章では、表示を制限する方法と、その代償を整理します。
8-1. 表示を制限する方法
「AI Overviewに内容を使われるから、クリックされない」と考え、AI Overviewへの表示を制限したくなるのは自然な発想です。Googleは、次の方法でAI機能での表示を制限できると説明しています。
- nosnippet:ページのスニペットを表示しない
- data-nosnippet:ページの特定の部分をスニペットに使わせない
- max-snippet:スニペットの文字数の上限を指定する
- noindex:ページを検索結果に表示しない
それぞれの違いを補足しておきます。nosnippetとdata-nosnippetは、どちらもスニペットに使わせないための指定ですが、前者はページ全体、後者はページの一部だけが対象です。max-snippetは、スニペットに使える文字数に上限を設けるもので、制限の強さを調整できます。noindexは、ページそのものを検索結果から外す指定で、4つの中でもっとも影響の大きい方法と言えます。
また、Search Consoleのヘルプによると、Search Consoleの設定で、サイトを検索の生成AI機能から除外することもできます。こちらは個別のページではなく、サイト単位で考える設定です。
どの方法を選ぶにしても、効果が「AI Overviewにだけ」及ぶとは限りません。制限をかける前に、何を失うことになるのかを知っておく必要があります。次の項で、その代償を見ていきましょう。
8-2. 外すことのデメリット
ただし、これらの方法には大きな代償があります。nosnippetやmax-snippetは、AI Overviewだけでなく、通常の検索結果に表示されるスニペットにも影響します。説明文が表示されなくなれば、通常の検索結果でのクリック率も下がるおそれがあります。noindexを使えば、そもそも検索結果に表示されなくなります。
検索結果で、タイトルの下に説明文がないページを想像してみてください。ユーザーは、そのページに何が書かれているのかを判断できません。6章の対策②で、説明文で「開く理由」を示す大切さに触れましたが、スニペットを制限すると、その手段そのものを手放すことになります。AI Overviewでのクリック減を防ごうとして、通常の検索結果でのクリックまで失ってしまう。これでは本末転倒でしょう。
さらに、AI Overviewから外れると、3章で見た「引用されることによる差」も得られなくなります。競合のページだけが引用され、自社の名前が出てこない状態になりかねません。
ユーザーから見れば、AI Overviewの回答に名前が出てくる会社は、そのテーマについて情報を発信している会社として映ります。自社が外れた検索で競合の名前だけが繰り返し表示されれば、比較検討の段階で候補に挙がりにくくなることも考えられます。6章の対策④で触れた、名前を残して指名検索につなぐ道も閉ざされてしまうわけです。
8-3. 外すことを検討すべきケース
多くのサイトにとって、AI Overviewから外すことはおすすめできません。検討の余地があるのは、有料の会員向けコンテンツの一部など、要約されることで事業の価値が直接損なわれる情報に限られるでしょう。
たとえば、会員向けに専門的な解説記事を提供しているサービスで、記事の核心部分がAI Overviewで要約されてしまえば、会員になる理由が薄れてしまいます。こうしたケースでは、制限を検討する意味があるかもしれません。
その場合も、ページ全体ではなく、data-nosnippetで該当部分だけを制限するなど、影響を最小限にとどめる方法を選んでください。導入部分や概要はスニペットに使えるよう残し、会員にだけ見せたい核心部分にだけ指定をかける、というイメージです。こうすれば、検索結果での説明文や、AI Overviewでの引用の機会を保ちながら、守りたい情報だけを守れます。
判断に迷うなら、まず「要約されて困るのは、ページのどの部分か」を具体的に書き出してみるとよいでしょう。書き出してみると、ページ全体を外す必要がある場面はそう多くないと気づくはずです。迷ったときは制限しない側に倒し、影響を見ながら必要な部分だけを絞り込むほうが、取り返しのつかない損失を避けられます。
9. AI Overview時代のクリック率の見方と、社内への報告の仕方

対策を進めるうえで見落とされがちなのが、社内への伝え方です。AI Overviewの影響を正しく説明できないと、施策の方向そのものを誤ってしまいかねません。この章では、クリック率の見方と報告の仕方を紹介します。
9-1. 順位とクリック率だけで判断しない
「順位は1位なのに、クリック率が下がった。記事の質が落ちたのでは」。AI Overviewの影響を知らないと、こうした誤った判断をしてしまいがちです。Ahrefsも、順位のレポートには異変が出ないため、流入減の原因がサイト側にあると誤解しやすいと指摘しています。
この誤解が厄介なのは、間違った打ち手につながりやすいことです。記事の質が原因だと考えれば、リライトや記事の追加に人手を割くことになります。けれども、2章で見たように、AI Overviewが表示される検索では1位でもクリック率が大きく下がる傾向があります。原因が検索結果の画面の変化にある以上、記事を書き直しても、期待したほどには数字が戻らないでしょう。
実際、担当者の方と話していると、「上司に流入減の理由を聞かれて、うまく説明できなかった」という声をよく聞きます。順位レポートしか共有していない場合、報告を受ける側からは、順位が維持されているのに流入が減っている理由が見えません。説明の材料がないまま、担当者の努力不足と受け取られてしまうこともあります。
そうならないために、まずは5章の手順で原因を切り分け、AI Overviewの影響を受けているクエリを把握しておくことが出発点になります。そのうえで、順位とクリック率に加えて見るべき指標を、報告の中に組み込んでいきます。
9-2. 報告に加える指標
社内への報告には、次の指標を加えることをおすすめします。
| 指標 | 何がわかるか | 確認方法 |
|---|---|---|
| AI Overviewの表示の有無 | クリック率低下の原因の切り分け | 実際に検索して確認 |
| 生成AI機能での表示回数 | AI Overviewにどれだけ使われているか | Search Console(生成AIパフォーマンスレポート) |
| 引用の有無 | 引用される側に回れているか | 実際に検索して確認 |
| 指名検索の数 | 名前が残り、戻ってきているか | Search Console |
| 取引に近いページの流入とCV | 事業への影響 | GA4 |
表の指標は、それぞれ役割が異なります。AI Overviewの表示の有無と生成AI機能での表示回数は、クリック率が下がった原因を説明するための指標です。引用の有無と指名検索の数は、6章の対策①や④が進んでいるかを確かめるためのものにあたります。そして、取引に近いページの流入とCV(コンバージョン。問い合わせや申し込みなどの成果のこと)で、事業への影響を見ていきます。
すべてを最初からそろえる必要はありません。まずは、実際に検索して確認する2つの指標と、Search Consoleで見られる指名検索の数から始めると、負担は大きくならないでしょう。生成AIパフォーマンスレポートは、5章で触れたとおり、表示回数が十分でないサイトには表示されないため、使えるかどうかを先に確かめておきます。
報告の頻度は、ふだんの月次報告に合わせるのが自然です。ただし、実際に検索して確かめる指標は、AI Overviewの表示が変わることもあるため、毎回同じクエリを、できるだけ同じ条件で確認するようにしてください。条件をそろえておけば、前回との比較もしやすくなります。
9-3. 報告の例
報告では、たとえば次のように整理すると、状況が正しく伝わります。
「〇〇とは」などの情報収集型キーワードでは、AI Overviewの表示により、順位は維持したままクリック率が低下しています。外部調査でも、日本の情報収集型キーワードでは、1位でもクリック率が大きく下がる傾向が報告されています。一方、主要な〇件のキーワードでAI Overviewに引用されており、指名検索は前年同期比で〇%増加、料金ページからの問い合わせは横ばいです。今後は、引用されているキーワードを増やす施策と、料金・事例ページの強化を優先します。
この例では、最初にクリック率が下がっている事実とその原因を示し、次に外部調査で、それが自社だけの問題ではないことを補っています。そのうえで、引用、指名検索、問い合わせという、AI Overview時代に合った指標の状況を伝え、最後に今後の方針で締めくくる流れです。例の中の〇の部分には、9-2の指標で確認した自社の数字を入れてください。
クリック率の低下を「失敗」としてではなく「検索環境の変化」として説明し、そのうえで打ち手を示す。この順番を意識するだけで、報告を受ける側の受け止め方は変わってきます。報告を受ける側が知りたいのは、数字が下がった理由と、これから何をするのかです。原因の説明だけで終われば言い訳に聞こえますし、打ち手だけを並べても、なぜその施策が必要なのかが伝わりません。
外部調査を引用するときは、2章で見たように「傾向を示すデータ」として扱い、自社の数字と混同しないよう気をつけてください。例の文面でも、外部調査は「傾向が報告されています」という言い方にとどめています。
バクリでは、AI Overviewでの引用状況の可視化から、施策の設計、社内で続けられる計測の仕組みづくりまでを一貫して支援しています。
10. AI Overviewとクリック率に関するよくある質問
Q1. 日本でもAI Overviewでクリック率は下がっていますか?
下がっています。Ahrefsの調査では、日本の情報収集型キーワードで、AI Overviewが表示された検索の1位のクリック率は9.0%で、予測より62.7%低い結果でした(2026年6月時点)。2025年12月時点の低下率は38%だったので、半年で悪化していることになります。なお、62.7%はAI Overviewの表示前後を比べた数字ではなく、予測値と実測値を比べたものである点に注意してください。
Q2. 検索順位が1位なら、影響は小さいですか?
いいえ、1位でも影響を受けます。AI Overviewは検索結果の最上部に表示されるため、1位のリンクも画面の下に押し下げられ、ユーザーの目に入りにくくなるからです。Ahrefsの調査も、検索1位のクリック率を対象にしたものでした。スマートフォンでは、スクロールしないと1位のリンクが見えないこともあります。順位が維持されていても安心はできない、というのが実情でしょう。
Q3. AI Overviewに引用されれば、クリックは戻りますか?
元の水準まで戻るとは限りません。ただし、Seer Interactiveの調査では、引用されたブランドのクリック率は、引用されなかったブランドの2〜5倍でした(2025年)。この調査は53ブランドを対象にしたもので、もともと評価の高いブランドが引用されやすいだけという可能性もあり、因果関係は示されていません。それでも、引用される側に回ることで差がつく余地はあります。
Q4. リライトすればクリック率は戻りますか?
順位を上げるためのリライトだけでは、AI Overviewが上部に表示される限り、クリック率は戻りにくいと考えられます。順位を上げても、画面の上部をAIの回答が占める状況は変わらないためです。リライトするなら、答えを先に示して引用を狙う、AI Overviewでは得られない価値をページに加える、といった方向で行うのがよいでしょう。
Q5. AI Overviewに自社のページを表示させないことはできますか?
できます。nosnippetなどの設定や、Search Consoleの設定で制限できます。ただし、nosnippetやmax-snippetは通常の検索結果のスニペットにも影響し、説明文が表示されなくなればクリック率が下がるおそれがあります。引用によるメリットも失うため、多くのサイトにはおすすめできません。検討する場合も、data-nosnippetで一部だけを制限するなど、影響を最小限にとどめる方法を選んでください。
11. まとめ|AI Overviewでクリック率が下がったら「引用される側」に回る
AI Overviewが表示されると、検索結果の上部で答えが完結し、1位のリンクも押し下げられるため、クリック率が下がります。日本でも、情報収集型のキーワードでは1位でも予測より6割以上低いというデータが出ています。一方で、引用されたブランドとされなかったブランドではクリック率に差があり、打てる手は残っています。引用される側に回り、名前を残して指名検索につなげ、取引に近いページを守ることが対策の中心です。
まずはSearch Consoleで、順位は変わらないのにクリック率だけが下がっているクエリを探し、AI Overviewの表示と引用の有無を確かめてみてください。
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