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ゼロクリック検索の対策とは?流入が減る仕組みと、クリックされなくても選ばれるためにやること【2026年最新】

「検索順位は変わっていないのに、アクセスだけが減っている」。

Googleのサーチコンソールを開いて、こんな状況に首をかしげた担当者は少なくないはずです。

原因のひとつとして考えられるのが、ゼロクリック検索です。検索結果のページだけで疑問が解決してしまい、どのサイトもクリックされないまま検索が終わる。AI Overviewの登場によって、この傾向はさらに強まっています。

ただし、クリックされないことは「選ばれていない」こととイコールではありません。検索結果やAIの回答で名前を知った人が、あとから社名で検索して戻ってくる。この動きまで視野に入れると、打つべき対策はかなり変わってきます。PVの減少だけを見て慌てるより、どの流入を守り、どこで名前を残すのかを落ち着いて切り分けるほうが、結果的に近道になるでしょう。

本記事では、ゼロクリック検索の仕組みと最新データを整理したうえで、自社サイトへの影響の確かめ方、影響を受けやすいクエリの見分け方、そしてクリックされなくても選ばれるための対策7つを解説します。

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1. ゼロクリック検索とは?起きる場面とAI検索との関係

1-1. ゼロクリック検索の定義

ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索したあと、検索結果のどのリンクもクリックせずに検索を終えることを指します。典型的なのは、検索結果のページにすでに答えが表示されていて、わざわざサイトを開く必要がなかったというパターンでしょう。ある用語の意味をさっと確かめたいだけの人なら、検索結果の上部に出た説明を読んだ時点で目的は果たされています。

ここで押さえておきたいのは、ゼロクリック検索が「機能」の名前ではなく、ユーザーの行動が生む「現象」だという点です。AI Overviewや強調スニペットは、その現象を生む機能の一部だと考えると整理しやすくなります。担当者の方と話していると、「ゼロクリック対策=AI Overview対策」と捉えているケースによく出会いますが、両者は同じものを指しているわけではありません。この区別があいまいなままだと、AI Overviewが表示されないキーワードでクリックが減っている理由を見落としてしまうおそれがあります。

逆に言えば、どの機能が、どの検索で、クリックの代わりになっているのかを一つずつ確かめていけば、自社への影響はかなり具体的に把握できるわけです。次の項では、その機能を場面ごとに整理していきます。

1-2. ゼロクリック検索が起きる5つの場面

ゼロクリック検索は、検索結果のページにどんな表示が出るかによって、起きる場面がいくつかに分かれます。代表的なものを表にまとめました。

場面例起きやすい検索
強調スニペット検索結果の上部に、ページの一部が抜き出されて表示される「〇〇とは」「〇〇 やり方」
ナレッジパネル人物・企業・場所などの基本情報が右側や上部にまとまって表示される固有名詞の検索
即答型の表示天気、為替、計算、単位換算、スポーツの結果など数値や事実の確認
ローカルパック地図と店舗の一覧が表示され、電話や経路案内がその場でできる「近くの〇〇」
AI Overview生成AIが複数のページをもとに要約した回答を表示する説明や比較を求める検索

表を見比べると、いずれも「ユーザーが知りたいことを、検索結果のページの中で先に見せてしまう」仕組みだとわかります。強調スニペットや即答型の表示は、短い事実や手順を確かめたい検索で起きやすいものです。それに対してAI Overviewは、説明や比較のように、本来なら複数のページを読み比べていた検索にまで範囲を広げている点に特徴があります。

なお、ローカルパックで電話をかけたり経路を調べたりした場合は、サイトへのクリックはなくても、事業者にとっては成果につながっています。たとえば、駅前で整体院を営む方のケースを考えてみてください。「近くの整体」で検索した人が、地図の一覧からそのまま電話で予約を入れたなら、サイトのアクセス数には表れなくても、来院という結果は生まれているわけです。

ゼロクリック検索がすべて損失だとは限らない、という点は最初に押さえておきたいところです。数字の減少だけを見て「失っている」と判断する前に、どの場面で起きているゼロクリックなのかを見分ける必要があります。

1-3. AI検索・AIOとの関係

ゼロクリックは、Googleの検索結果の中だけの話ではありません。ChatGPTやGeminiなどの生成AIに質問し、回答を読んで終わる行動も、広い意味では同じ「サイトを訪れずに答えを得る」行動です。検索窓にキーワードを打ち込む代わりに、AIに文章で質問して答えをもらう。その流れの中では、検索結果のページすら表示されません。

そのため、ゼロクリック検索への対策を考えるときは、Googleの検索結果だけでなく、生成AIが答える場面まで含めて見ておく必要があります。こうしたAI検索全体で、自社が引用・紹介される状態をつくる取り組みがAIOです。バクリでは、AIOを以下のように定義しています。

AIOの定義
主な対象:AI Overview+各種生成AI(AI検索全般)
目的:AI Overview対策とLLM対策(その他AI対策)を合わせた総称。AI検索全体で引用・紹介される状態をつくること

この定義からもわかるとおり、ゼロクリック検索への対策は、AIO対策と重なる部分が大きくなっています。クリックが発生しない場面でも、AIの回答の中で自社の名前や情報が使われていれば、ユーザーとの接点は残るからです。

一方で、両者をまったく同じものとして扱うと、実務でつまずくこともあります。ゼロクリック検索の影響を確かめるにはサーチコンソールの数字を読む必要があり、AIでの露出を確かめるには実際にAIへ質問してみる必要がある、というように、確認の方法が異なるためです。本記事では、この2つを行き来しながら対策を整理していきます。

2. ゼロクリック検索はどれくらい増えているか|最新データ

2-1. 米国のGoogle検索の68.01%がクリックなし

SparkToroが2026年6月に公表した調査によると、2026年1〜4月の米国のGoogle検索のうち、68.01%がクリックなしで終わりました。同じ手法で測り直した2024年の値は60.45%で、約7.6ポイント上昇しています。米国では、Google検索の7割近くが、どのサイトへの訪問も生まずに終わっていることになります。

この調査は、Similarwebのクリックストリームデータ(パソコンとスマートフォンのWebブラウザでの検索)をもとにしています。クリックストリームデータとは、ユーザーがどのページからどのページへ移動したかという、閲覧の流れを記録したデータのことです。注意したいのは、Googleのスマートフォンアプリでの検索が含まれていない点でしょう。SparkToroは、アプリではゼロクリックの割合がさらに高い可能性があるとしています。68.01%という数字は、アプリを含めた検索全体の姿をそのまま表したものではない、と理解しておく必要があります。

また、同調査では、検索のあとにGoogle内で別の検索をし直した割合が上がったことも報告されています。最初の検索でクリックしなかった人が、言葉を変えながら検索を重ね、答えを探している様子がうかがえます。ゼロクリックは「すぐに答えが見つかった」場合だけでなく、「検索結果の中で探し続けている」場合にも起きている、と読むこともできそうです。

2-2. AIの要約が表示されると、クリックは約半分に

米国のPew Research Centerは、閲覧履歴の提供に同意した米国の成人900人の、2025年3月の検索行動を分析しました。本人の記憶に頼った回答ではなく、実際の閲覧の記録をもとにしている点が、この調査の特徴です。

結果を見ると、AIの要約が表示された検索で、通常の検索結果のリンクがクリックされた割合は8%でした。AIの要約が表示されなかった検索では15%だったので、要約があるだけでクリックはおよそ半分になった計算です。さらに、AIの要約の中にある出典リンクがクリックされた割合は1%にとどまりました。要約に引用されたからといって、そこから訪問が生まれるとは限らない。そのことを示す結果だと言えます。

ただし、Googleはこの調査について、分析対象のクエリが代表的ではないとして、方法論に異議を唱えています。数字は「目安のひとつ」として受け止めるのが適切でしょう。社内の資料や提案書でこのデータを使う場合も、Googleの反論があることを併記しておけば、あとで根拠を問われたときに説明に困りません。

AI Overviewが表示されたときのクリック率の推移については、[AI Overviewでクリック率が下がる理由に関する記事|内部リンク先URL]で詳しく解説しています。

2-3. 日本のデータの現状

ここで注意したいのは、68.01%は米国のデータだという点です。日本のGoogle検索について、同じ手法でゼロクリック率を測った公開データは、2026年10月時点で見当たりません。海外の記事やセミナー資料でこの数字を目にすると、つい日本にもそのまま当てはめたくなりますが、検索の使われ方は国によって異なります。上司やクライアントに説明するときも、「米国の調査では」と前置きを添えておくのが安全です。

日本の状況を知る手がかりになるのは、AI検索の利用に関するデータです。サイバーエージェントのGEOラボが2026年8月に全国9,278名を対象に行った調査では、検索の手段として生成AIを使っている人は52.3%で、初めて半数を超えました。2025年5月の初回調査では21.3%だったので、短い期間で大きく伸びたことがわかります。

検索エンジンを使う人は86.9%と依然として多数派ですが、検索エンジンと生成AIの両方を使う人のうち46.6%が、検索行動の半分以上を生成AIに切り替えたと答えています。検索エンジンを手放したわけではないものの、調べものの一部をAIに任せる人が増えている、という姿が浮かびます。ゼロクリック率そのものはわからなくても、日本でもサイトを訪れずに答えを得る場面は確実に増えていると考えられます。

3. ゼロクリック検索が増える3つの理由

3-1. AI Overviewの拡大

最も大きな要因は、AI Overviewの拡大です。AI Overviewは、生成AIが複数のページの情報をまとめ、検索結果の上部に回答として表示する機能のこと。これによって、ユーザーは個別のページを開かなくても、ある程度の答えを得られるようになりました。

これまでなら、「〇〇とは」と検索した人は上位のページをいくつか開いて読み比べ、自分なりに理解を組み立てていたはずです。AI Overviewは、その「読み比べてまとめる」作業を検索結果の中で先に済ませてしまいます。ユーザーにとっては手間が省ける一方、サイト側から見ると、これまで生まれていた複数の訪問がまとめて消えることになるわけです。

SparkToroも、ゼロクリックの増加の主な要因はAI Overviewである可能性が高いとしています。ただし、どの程度がAI Overviewによるものかは切り分けられていません。前の章で見た68.01%という数字を、すべてAI Overviewのせいだと説明するのは言い過ぎになるでしょう。社内で原因を報告するときも、「主な要因と考えられている」という表現にとどめておくのが無難です。

3-2. 検索結果の機能が増えた

AI Overview以前から、検索結果のページには強調スニペット、ナレッジパネル、「他の人はこちらも質問」といった機能が増えてきました。「他の人はこちらも質問」は、検索したキーワードに関連する質問と、その短い答えを折りたたみ形式で並べる機能です。1章の表で見たとおり、どれもページを開く前に答えを示す性格を持っています。

こうした機能が積み重なった結果、検索結果のページそのものが、答えを表示する場所になってきたわけです。かつての検索結果は、答えが載っているサイトへの案内板としての役割が中心でした。今では、案内板と答えの両方を兼ねる場面が増えています。

見落とされがちなのは、AI Overviewが表示されないキーワードでもゼロクリックは起こりうるという点です。たとえば、ある記事のクリックが減ったとき、原因をAI Overviewだと決めつけてしまうと、実際には強調スニペットにほかのサイトの文章が採用されていた、という事情を見逃すかもしれません。実際に検索結果を開き、どの機能が表示されているかを目で確かめる習慣を持っておくと、原因の見立てを誤りにくくなります。

3-3. 検索の外で答えが完結する

もうひとつは、そもそもGoogleで検索しない場面が増えていることです。ChatGPTやGeminiに直接質問すれば、検索結果のページを見ることもなく答えが得られます。2章で見たとおり、日本でも検索手段として生成AIを使う人が半数を超えました。

この動きには、サーチコンソールの数字に表れにくいという厄介さがあります。サーチコンソールが記録するのはGoogle検索での表示やクリックなので、ユーザーが最初からAIに質問していれば、そもそも表示回数にも数えられません。表示回数が減っているとき、その一部は検索需要そのものが減ったのではなく、調べる場所がAIに移った結果かもしれないのです。

たとえば、BtoBのマーケティング担当者が上司から「このテーマの記事、表示回数が落ちているけれど、もう需要がないの?」と聞かれたとします。このとき、検索の外で答えが完結している可能性も考えに入れておけば、「需要が消えた」と早合点せずに済むでしょう。AIの回答で自社がどう扱われているかを確かめる方法は、7章と8章で紹介します。

4. ゼロクリック検索がサイトに与える影響

4-1. 順位は同じでもクリックが減る

ゼロクリック検索の影響で最もわかりやすいのは、検索順位が変わらないのにクリック数が減る現象です。上位に表示されていても、その上にAI Overviewや強調スニペットが表示されれば、ユーザーはそこで満足して検索を終えてしまいます。

これまでのSEOでは、「順位が上がればクリックが増える」という前提で施策の効果を測ってきました。ところがゼロクリック検索が増えると、この前提が揺らぎます。順位という数字は以前と同じでも、その順位が生み出すクリックの量が変わってしまうからです。

現場でよく相談されるのが、「順位レポートでは問題がないのに、アクセス解析では流入が減っている。どちらを信じればいいのか」という悩みです。実のところ、どちらの数字も間違ってはいません。順位は維持できているものの、検索結果のページの中で答えが示されるようになり、ユーザーがリンクをたどる理由が薄れた、と読むのが自然でしょう。この状態を確かめる具体的な手順は5章で解説します。まずは、順位とクリックは別々に動くことがある、と理解しておくことが、影響を正しく見立てる第一歩になります。

4-2. 情報収集型のページほど影響が大きい

影響の大きさは、ページの種類によって違います。「〇〇とは」のような用語解説、数値や事実の確認、手順の説明など、答えが短くまとまる情報収集型のページほど、クリックされにくくなります。情報収集型とは、何かを買ったり申し込んだりする前の段階で、知識を得るために行う検索のことです。

情報収集型が影響を受けやすいのは、答えが数行で収まってしまうからです。用語の意味や手順の概要であれば、AI Overviewや強調スニペットの限られたスペースでも十分に伝わります。読み手にとっては、検索結果で答えがわかればそれ以上ページを開く必要はありません。

一方、比較検討や申し込みにつながるページへの影響は相対的に小さい傾向があります。複数のサービスの料金を見比べたい人や、見積もりを依頼したい人は、詳しい情報や申し込みフォームがあるページを実際に開かなければ目的を果たせないためです。

とはいえ、情報収集型のページをすべて手放せばよいという話でもありません。自社の事業に近いテーマであれば、クリックはされなくても、名前を残すことに意味があります。どのクエリを守り、どれを追わないかは、6章で詳しく整理します。

4-3. PVだけでは成果を測れない

情報収集型の記事を量産し、PVを伸ばすことを目標にしてきたサイトは、指標の見直しを迫られています。PV(ページビュー)は、ページが閲覧された回数のことです。これまでは「PVが増えれば、その先の問い合わせや売上も増える」という考え方で、PVが成果の代わりの指標として使われてきました。

しかし、ゼロクリック検索が増えると、PVと成果の結びつきは弱まります。PVが減っても、問い合わせや売上が減っていなければ、事業への影響は限定的かもしれません。減ったのが、もともと成果につながりにくかった流入である可能性もあるからです。逆に、PVを維持できていても、成果につながっていなければ意味がありません。

たとえば、社内の月次報告でPVの推移を中心に見せているケースを考えてみてください。PVが前年より落ちた途端に「SEOがうまくいっていない」と受け取られ、本来は問題のない施策まで見直しの対象になってしまう、ということが起こりえます。こうした誤解を避けるには、PVと並べて問い合わせ件数や指名検索の推移を報告する形に切り替えるのが有効です。具体的な指標の組み合わせ方は、8章のKPIの見直しで紹介します。

4-4. その場で来なくても、あとから戻ってくる

ここが、本記事で最も強調したい点です。クリックが減ったという事実だけを見ると、ゼロクリック検索は損失にしか見えません。ところが、AIの回答を見た人がそのあとどう動いているかに目を向けると、別の姿が見えてきます。

サイバーエージェントの調査では、AIの回答を見たあとの行動について、AIの回答に表示されたURLをクリックしたことがある人が61.0%、AIにおすすめされた商品・サービスをさらに検索したことがある人が77.3%という結果が出ています。さらに、AIにおすすめされたことをきっかけに、商品・サービスを購入・利用したことがある人も58.7%にのぼりました。

つまり、AIの回答を見た人の多くは、そこで行動を終えるのではなく、名前を知った商品やサービスを、あとから自分で検索しているのです。その場でクリックされなくても、検索結果やAIの回答で自社の名前が挙がれば、あとから社名やサービス名で検索して戻ってくる可能性があります。

たとえば、地方で工務店を営む方の場合を想像してみてください。AIに「〇〇市で注文住宅を相談できる会社」と尋ねた人が、回答に出てきた社名を覚えておき、数日後に社名で検索してサイトを訪れる、という流れは十分に考えられます。このとき、最初の接点はアクセス解析には残りません。それでも、名前を知ってもらえたこと自体が、訪問のきっかけになっているわけです。

ゼロクリック検索への対策は、「クリックを取り戻す」だけでなく、「名前を残し、あとで戻ってきてもらう」ことまで含めて考える必要があります。

5. ゼロクリック検索の影響を確認する方法|サーチコンソールの見方

5-1. 表示回数は維持・クリック率だけ低下のクエリを探す

サーチコンソールの「検索パフォーマンス」で、クエリごとの表示回数、クリック数、クリック率(CTR)、平均掲載順位を確認します。クリック率とは、検索結果に表示された回数のうち、実際にクリックされた割合のことです。左側のメニューから「検索パフォーマンス」を開き、グラフの上にある指標をすべてオンにしてから、下の表を「クエリ」のタブに切り替えると、クエリごとの数字が並びます。

ゼロクリック検索の影響を受けている可能性が高いのは、次のパターンです。

表示回数クリック率考えられること
維持・増加低下ゼロクリック化の可能性が高い(検索結果上で答えが出ている)
減少維持検索需要の減少や、順位の下落
減少低下順位の下落とゼロクリック化の両方
維持・増加維持・上昇影響は小さい

表の中で特に注目したいのは、1行目の「表示回数は維持・増加しているのに、クリック率だけが下がっている」パターンです。検索結果には以前と同じように表示されているのに、クリックされる割合だけが落ちているのであれば、検索結果のページの中で答えが示されるようになった可能性が考えられます。

平均掲載順位がほぼ変わっていないのにクリック率だけ下がっているクエリがあれば、実際にそのキーワードで検索して、AI Overviewや強調スニペットが表示されていないかを確認してください。その際、自社のページがAI Overviewの出典として挙がっているのか、それとも別のサイトが使われているのかも見ておくと、あとで対策を考えるときに役立ちます。

判断に迷いやすいのは、順位が少しだけ下がり、クリック率も下がっているケースでしょう。この場合、順位の下落とゼロクリック化のどちらが主な原因かを数字だけで決めるのは難しいため、実際の検索結果を見て判断するのが確実です。

5-2. 前年同期と比べる

検索数には季節による変動があるため、前月比ではなく前年同期と比較するのが基本です。たとえば、年度末に需要が集中するサービスであれば、春先に表示回数が増え、夏にかけて落ち着くといった波が毎年のように生まれます。この波を前月比で見てしまうと、単に季節の谷に入っただけなのに「クリックが減った」と判断しかねません。

サーチコンソールでは、日付のフィルタで「比較」を選ぶと、同じ月同士を並べて表示できます。今年の9月と昨年の9月、というように期間をそろえて比べれば、季節の影響をある程度取り除いたうえで変化を読み取れるはずです。5-1で見た表示回数とクリック率の組み合わせも、この前年同期の比較で確認すると、見立ての精度が上がります。

ひとつ気をつけたいのは、比べる期間の間にサイト側で大きな変更をしていないかという点です。記事のリライトやURLの変更、サイトの移転などを行っていると、数字の変化がゼロクリック検索によるものなのか、自社の変更によるものなのかが見分けにくくなります。担当者が入れ替わっている場合は、前年にどんな施策を行ったかを社内の記録で確かめてから比較すると、読み違いを防げるでしょう。

5-3. 生成AIパフォーマンスレポートの使い方と限界

サーチコンソールには、AI OverviewやAIモードなどの生成AI機能に自社のページが表示された回数を確認できる「生成AIパフォーマンスレポート」があります。どのページがAIの回答に使われているかの手がかりになるため、AI検索での露出を把握する入り口として役立ちます。

ただし、2026年10月時点では制約もあります。このレポートは2026年8月31日に世界中のすべてのサイト向けに提供が始まったものの、生成AI機能での表示回数が十分でないサイトには表示されません。開いてみてデータが出てこない場合は、設定の誤りを疑う前に、この条件に当てはまっていないかを考えてみてください。また、確認できるのは表示回数で、クリック数や検索クエリは含まれません。

このため、「AIの回答に表示されたけれど、クリックされなかった」かどうかを直接確かめることはできません。どのページが生成AI機能に表示されているかはわかっても、それがどんな検索で表示され、どれだけ訪問につながったのかまでは追えないわけです。

そこで実務では、5-1の方法と組み合わせて推測することになります。生成AIパフォーマンスレポートで表示回数が伸びているページについて、検索パフォーマンスの側で同じページのクリック率の推移を見ていきます。両者を並べれば、AIの回答に表示されるようになった時期と、クリック率が下がった時期が重なっていないかを確かめられます。

6. ゼロクリック検索の影響を受けやすいクエリ・受けにくいクエリ

6-1. 影響を受けやすいクエリ

答えが短くまとまり、検索結果のページやAIの回答だけで用が足りるクエリです。具体的には、次のようなものが当てはまります。

  • 用語の定義:「〇〇とは」「〇〇 意味」
  • 事実の確認:「〇〇 いつ」「〇〇 何歳」
  • 計算・換算:「〇〇 計算」「〇〇 単位」
  • 簡単な手順:「〇〇 やり方」(手順が短いもの)

これらに共通しているのは、ユーザーが求めている答えが短い説明やひとつの数字で済んでしまう点です。「〇〇とは」と検索する人の多くは、言葉の意味をざっくりつかめれば満足するでしょう。計算や単位の換算であれば、検索結果に答えの数字が表示された時点で目的は果たされます。

注意したいのは、同じ「やり方」系のクエリでも、手順の長さによって影響が変わることです。数ステップで終わる簡単な手順なら検索結果やAIの回答で足りますが、設定画面の操作を細かく説明する必要がある場合や、手順の途中で判断が分かれる場合は、画面の画像や補足の説明を求めてページを開く人が残ります。自社のページがどちらに当たるのかは、実際に検索して、AI Overviewの回答でどこまで説明されているかを見ると判断しやすいはずです。

また、影響を受けやすいクエリだからといって、すぐに記事を削除したり更新をやめたりする必要はありません。自社の事業に近いテーマであれば、引用されることで名前を残せるからです。この振り分けの考え方は、6-3で整理します。

6-2. 影響を受けにくいクエリ

ユーザーがサイトを訪れる理由がはっきりしているクエリです。SparkToroの調査を主導したRand Fishkin氏も、ブランド名での検索、地域に関する検索、購入の意図が強い検索では、SEOの効果が引き続き大きいと述べています。

  • 指名検索:社名、サービス名、商品名
  • 比較・検討:「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」「〇〇 料金」
  • 申し込み・購入:「〇〇 申し込み」「〇〇 見積もり」
  • 地域:「〇〇市 〇〇」(ただしローカルパックで完結する場合もある)

これらのクエリでは、検索結果やAIの回答だけで用が済むことはあまりありません。社名やサービス名で検索する人は、その会社の公式な情報を確かめたいと考えていますし、料金や見積もりを調べている人は、自分の条件に当てはめて詳しく比べたいはずです。概要だけでは判断できないため、ページを開いて中身を確かめる必要が生まれます。

地域に関する検索は、少し扱いが分かれます。1章で触れたように、ローカルパックで電話や経路案内が済んでしまう場合、サイトへのクリックは発生しません。ただ、その場合も来店や問い合わせにはつながっている可能性があるので、クリック数だけで良し悪しを判断しないようにしたいところです。地域の事業者であれば、ローカルパックに表示される情報が正確かどうかもあわせて確認しておくと安心でしょう。

裏を返せば、これらのクエリで流入が減っている場合は、ゼロクリック検索以外の原因を疑ったほうがよいかもしれません。順位の下落や競合の動きなど、従来のSEOの視点で点検する価値があります。

6-3. 守る流入と、追わない流入を振り分ける

ここまでの整理を踏まえると、すべてのクエリでクリックを取り戻そうとするのは現実的ではありません。限られた時間と予算をどこに使うかを決めるために、クエリを次の3つに振り分けることをおすすめします。

クエリの種類方針打ち手
指名・比較・申し込み守るページの内容と導線を強化する
情報収集型(自社の事業に近い)引用されることを狙う答えを先に示し、名前を残す
情報収集型(自社の事業から遠い)追わないPVのために記事を量産しない

1つ目の「指名・比較・申し込み」は、事業の成果に直結する流入です。ゼロクリック検索の影響を受けにくい一方で、ここを取りこぼすと売上や問い合わせに響くため、ページの内容と導線を強化してしっかり守ります。

2つ目の「自社の事業に近い情報収集型」は、クリックは減っても、AIの回答や検索結果に引用されることで名前を残せる領域です。たとえば、会計ソフトを提供する会社にとっての「インボイス制度とは」のようなテーマが当てはまるでしょう。答えを先に示し、引用されやすい形に整えておけば、そこで名前を知った人が将来の顧客になる可能性があります。

3つ目の「自社の事業から遠い情報収集型」は、クリックが減っても事業への影響は限定的です。そこに時間を使うより、守るべき流入と、引用されることで名前を残せる領域に力を集めたほうが、成果につながりやすくなります。

迷いやすいのは、事業との距離が近いとも遠いとも言いきれないテーマです。その場合は、その記事を読んだ人が自社のサービスを検討する場面を思い描けるかどうかで判断すると、振り分けがしやすくなります。

7. ゼロクリック検索の対策7つ

ゼロクリック検索への対策は、「引用される」「選ばれる」「戻ってきてもらう」の3つに分けると整理しやすくなります。検索結果やAIの回答に名前が載り、その中から比べて選ばれ、あとで社名やサービス名で探して訪れてもらう。ユーザーの動きに沿ってこの3段階を順に整えていくのが、ここで紹介する7つの対策の考え方です。

7-1. 【引用される】対策① 答えを先に示す

AI Overviewや強調スニペットに使われるのは、質問への答えがはっきり書かれているページです。そこで、見出しの直後に、その見出しへの答えを1〜2文で書くようにします。「〇〇とは」の説明であれば、前置きを重ねずに1文で言い切る形にするとよいでしょう。

手早く点検するには、既存の記事を開き、各見出しの直後の段落だけを読んでみてください。そこだけで見出しの問いに答えられているかを確かめるわけです。現場でよく見かけるのは、見出しのあとに「〇〇について気になっている方も多いのではないでしょうか」といった導入が続き、答えが3段落目まで出てこない構成です。読み手に寄り添うつもりの前置きが、結果として答えを見つけにくくしていることになります。

これはクリックを手放す行為に見えるかもしれません。答えを先に書いてしまえば、読者はページを最後まで読まずに満足してしまうのではないか、という不安はもっともです。それでも、引用されれば、少なくとも名前は残ります。引用されなければ、名前すら残りません。

答えを先に示したあとで、背景や例外、具体的な事例といった「その先」の情報を続けておけば、もっと詳しく知りたい人がページを読み進める理由も残せます。この点は、7-3のクリックする理由を残す対策とあわせて考えるとよいでしょう。

7-2. 【引用される】対策② 一次情報を載せる

Googleは生成AI機能向けの公式ガイドで、独自で有用なコンテンツが、生成AI機能での露出に最も長期的な影響を与えると述べています。誰でも書ける一般論ではなく、自社の調査データ、実際の事例、現場の知見など、ほかのページにはない情報があるページが、引用の候補になります。

一次情報が重視される理由は、AIの回答のつくられ方を考えるとわかりやすいかもしれません。AIは複数のページをもとに回答をまとめるため、どのページにも書かれている一般論であれば、特定のページを引用する必要がありません。反対に、そのページにしかない情報を回答に使おうとすれば、そのページを出典にするしかないわけです。

とはいえ、「一次情報」と聞くと大がかりな調査を思い浮かべて、手が止まってしまう担当者も少なくありません。実際には、日々の業務の中にも材料はあります。問い合わせの中でよく聞かれる質問とその答え方、導入の際につまずきやすいところ、現場で実際に使っている判断の基準などは、その会社だからこそ書ける情報でしょう。

気をつけたいのは、一次情報らしく見せるために、根拠のない数字や実績を書かないことです。出典があいまいな数字は、かえって信頼を損ねます。自社で確かめられる事実だけを、確かめられる形で載せることが、引用の候補として長く使われるための土台になります。

7-3. 【選ばれる】対策③ クリックする理由を残す

検索結果やAIの回答では伝えきれない情報を、ページに用意します。AIの回答は文章での要約が中心なので、見比べたり、手を動かして確かめたりする情報は、ページを開かないと得られません。たとえば、次のようなものです。

  • 比較表や一覧表
  • 計算ツールやシミュレーター
  • 具体的な事例や、写真・図解
  • ダウンロードできるテンプレートやチェックリスト

AIの回答で概要を知ったユーザーが、「詳しくはこのページを見たい」と思える理由があれば、クリックされる可能性が残ります。リフォーム会社のサイトで「外壁塗装の費用」をテーマにした記事を例に考えてみてください。費用の考え方の概要はAIの回答でも伝わりますが、建物の条件ごとに整理した一覧表や、自宅の条件を入れて目安を確かめられるシミュレーターがあれば、「自分の場合はどうなのか」を知りたい人はページを開くでしょう。

ここでありがちなつまずきは、思いつく限りのツールや図解を足してしまうことです。用意する前に、そのページを訪れる人が次に何をしたいのかを考えてみてください。比較したいのか、計算したいのか、社内で共有できる資料がほしいのか。目的に合ったものを絞り込んで用意するほうが、種類を増やすよりも効果的なことは少なくありません。

また、こうした情報はクリックを生むだけでなく、7-2で見た「ほかのページにはない情報」にもなりえます。引用される対策と選ばれる対策は、別々のものというより、重なり合っていると考えるとよいでしょう。

7-4. 【選ばれる】対策④ AI検索での露出を確認する

自社に関係する質問を決めて、ChatGPTやGemini、AI Overviewで自社が挙がるかを定期的に確認します。質問は、見込み客が実際に尋ねそうな言い回しで考えるのがコツです。たとえば、勤怠管理のクラウドサービスを提供している会社であれば、「中小企業向けの勤怠管理ツールを教えて」「勤怠管理をクラウドに切り替えるときの注意点は」といった形が考えられます。社名を含まない質問にしておかないと、自社が本当に候補として挙がっているのかはわかりません。

確認の結果は、日付、質問、使ったAI、自社が挙がったかどうか、挙がった場合の紹介のされ方を項目にして、スプレッドシートに記録しておくと変化を追いやすくなります。AIの回答は同じ質問でも毎回少しずつ変わることがあるため、一度の結果だけで判断しないことも大切です。

挙がらない場合は、代わりにどのサイトや会社が挙がっているかを見て、自社のページに何が足りないかを考えます。挙がっている会社のページには比較表があるのか、具体的な事例が載っているのか、用語の説明が端的なのか。違いを一つずつ書き出していくと、7-1から7-3の対策のうち、どこから手をつけるべきかが見えてきます。

この確認は手作業だと手間がかかるため、まずは主要な質問に絞って始めるのが現実的でしょう。ここで記録したデータは、8章で紹介するKPIの「AIの回答での言及・引用」にもそのまま使えます。

7-5. 【戻ってきてもらう】対策⑤ 社名・サービス名を覚えてもらう

4章で見たように、AIの回答で名前を知った人の多くは、あとから自分で検索しています。そのときに検索されるのは、覚えている名前です。どれだけ良い情報を発信していても、名前が思い出せなければ、あとから探してもらうことはできません。

まず取り組みたいのは、サービス名や商品名を覚えやすくし、表記を統一することです。同じサービスをページによって英語表記にしたりカタカナ表記にしたり、略称で書いたりしていると、ユーザーの記憶の中でひとつの名前として定着しにくくなります。サイト内だけでなく、プレスリリースやSNSのプロフィールまで含めて表記をそろえておくと安心です。

次に、ページの中で、社名やサービス名を自然な形で示します。宣伝のように何度も繰り返す必要はありませんが、記事の内容がどの会社の知見に基づいているのかが読み手に伝わる程度には、名前を出しておきたいところです。

さらに、独自の調査やフレームワークに名前をつけ、引用されたときに名前が残るようにする方法もあります。考え方や手法に固有の呼び名があれば、AIの回答で紹介される際にもその名前ごと伝わりやすくなり、名前から自社にたどり着いてもらうきっかけになるでしょう。

7-6. 【戻ってきてもらう】対策⑥ 検索以外の接点を育てる

Fishkin氏は、ユーザーがふだん使っているプラットフォームで、サイトへの訪問につながるかどうかにかかわらず、ブランドの認知と影響力に投資することを勧めています。SNS、YouTube、業界のメディアやイベント、メールマガジンなど、検索以外でユーザーと接する場所を持っておくことが、検索での露出が減ったときの支えになります。

この提案で目を引くのは、「サイトへの訪問につながるかどうかにかかわらず」という部分です。これまでのWebマーケティングでは、SNSや動画も、最終的にはサイトへ誘導するための入り口として位置づけられることが多かったのではないでしょうか。ゼロクリック検索が増えている今は、その場で名前を知ってもらい、覚えてもらうこと自体に価値があります。投稿の中で完結する情報を出すことを、ためらう必要はないということです。

とはいえ、すべてのチャネルに手を広げるのは難しいでしょう。BtoBの専門的なサービスであれば、業界のイベントへの登壇やメールマガジンのほうが、見込み客との接点として向いているかもしれません。一方、個人向けの商品なら、SNSや動画で日常的に目に触れるほうが名前を覚えてもらいやすい場面もあります。自社の見込み客がふだんどこで情報を得ているかを起点に、続けられるチャネルを選ぶのが現実的です。

7-7. 【戻ってきてもらう】対策⑦ 戻ってきた人をCVにつなげる

社名やサービス名で検索して戻ってきた人は、すでに関心を持っています。ゼロからサービスを説明する必要はなく、「この会社にもう少し詳しく聞いてみたい」「資料を見て比べたい」という段階に来ていると考えられます。トップページやサービスページから、問い合わせや資料請求、購入に迷わずたどり着けるかを確認してください。

確かめ方はシンプルで、実際に自分で社名を検索し、検索結果から入ってみることです。トップページを開いたとき、何のサービスを提供している会社なのかがすぐにわかるか。問い合わせのボタンはどこにあるか。料金や導入の流れといった、検討に必要な情報まで迷わずたどり着けるか。スマートフォンでも同じ手順を試してみると、パソコンでは気づかなかった使いにくさが見つかることがあります。

よくあるつまずきは、問い合わせフォームの項目が多すぎて、途中で離脱されてしまうケースです。最初の接点では必要最低限の項目にとどめ、詳しいことはやり取りの中で聞く、という設計にしておけば、せっかくの関心を取りこぼしにくくなります。

せっかく戻ってきた人を逃さない導線は、ゼロクリック時代に最も費用対効果の高い改善のひとつです。新しい流入を増やす施策に比べ、すでにあるページの手直しで済むことも多いため、取り組みやすさの面でも優先度は高いと言えるでしょう。

8. ゼロクリック時代のKPIの見直し

8-1. PVから何に置き換えるか

ゼロクリック検索が増えると、PVやクリック数は以前ほど事業の成果を表さなくなります。4章で見たように、名前を知った人があとから戻ってくる動きは、最初の接点の時点ではPVに表れないからです。そこで、次のように指標を組み合わせて見ることをおすすめします。

これまでの指標これから組み合わせる指標確認方法
PV・クリック数表示回数、生成AI機能での表示回数サーチコンソール
検索順位AIの回答での言及・引用決めた質問を定期的にAIに投げる
自然検索の流入数指名検索の数サーチコンソール
—AI経由の流入GA4
CV数CV数(変わらず最重要)GA4・問い合わせ記録

表を読むときに意識したいのは、左の列の指標を捨てるのではなく、右の列の指標を「組み合わせる」という点です。表示回数は検索結果でどれだけ目に触れているかを示し、クリックが減っても露出そのものが保たれているかを確かめる材料になります。AIの回答での言及・引用には、7-4で紹介した定期的な確認の結果をそのまま使えます。

なかでも重視したいのが指名検索の数です。ゼロクリックの場面で名前を知った人が、あとから社名やサービス名で検索してくれば、それがこの数字に表れます。詳しい追い方は、次の8-2で説明します。

そして、CV数は変わらず最も重要な指標です。CVはコンバージョンの略で、問い合わせや資料請求、購入など、サイトで達成してほしい成果を指します。ほかの指標が変わっても、事業の成果を判断する軸はここにあります。ただ、指標を増やしすぎると報告が複雑になりがちです。まずは表の中から自社にとって追いやすいものをいくつか選び、毎月同じ形で記録するところから始めるとよいでしょう。

8-2. 指名検索の追い方

サーチコンソールで、社名・サービス名・商品名を含むクエリを絞り込み、表示回数とクリック数の推移を見ます。検索パフォーマンスの画面で「クエリ」のフィルタを追加し、「次を含むクエリ」に社名を入れると、社名を含む検索だけを抜き出せます。社名に表記のゆれがある場合は、カタカナ、英語、略称など、ユーザーが入力しそうなパターンを一つずつ確認しておくと漏れを防げます。

季節による変動があるため、前年同期との比較を基本にしてください。5-2で触れたとおり、前月比で見ると、季節の波を本当の変化と取り違えてしまうおそれがあります。

4章で見た「あとから戻ってくる」動きは、この指名検索の数に表れます。情報収集型のクエリのクリックが減っても、指名検索が増えていれば、ゼロクリックの場面で名前が残っていると読み取れます。用語解説の記事へのクリックが前年より減っている一方で、社名での検索が増えているなら、記事がAIの回答や検索結果の中で名前を伝える役割を果たしている可能性があるわけです。

ただし、指名検索の増減には、広告の出稿やメディアでの紹介、展示会への出展など、検索以外の要因も影響します。指名検索が伸びた時期にほかの施策を行っていなかったかを確かめ、原因を一つに決めつけないことが、数字を正しく読むためのコツです。

8-3. AI経由の流入と問い合わせ

GA4では、ChatGPTやPerplexityなどのAIサービスから自社サイトに来た訪問を確認できます。GA4は、Googleが提供するアクセス解析ツールです。集客に関するレポートで、参照元にAIサービスのドメインが含まれる訪問を絞り込めば、AI経由でどれだけの人が来ているかを把握できます。

ただ、AIの回答を読んだ人が、リンクをクリックせずにあとから社名で検索して訪れた場合、GA4では検索経由の訪問として記録されます。AIがきっかけだったことは、アクセス解析の数字だけではわからないわけです。

そこで役に立つのが、問い合わせフォームの「当社を知ったきっかけ」の項目です。ここに「生成AI(ChatGPTなど)」の選択肢を加えておくと、AI経由で知った問い合わせの件数も把握できます。選択肢を足すだけなので、フォームの改修としては比較的手軽に始められるでしょう。営業担当が商談の中で「どこで当社を知りましたか」と尋ね、その答えを記録しておくのも有効な方法です。

アクセス解析の数字と、ユーザー自身の申告を並べて見ることで、ゼロクリックの場面での接点が成果にどうつながっているのかが、少しずつ見えてくるはずです。

計測方法の詳細は、[AI引用の計測方法に関する記事|内部リンク先URL]で解説しています。

9. ゼロクリック検索でSEOは不要になるのか

9-1. Googleの見解

ゼロクリック検索が増えるにつれて、「もうSEOは意味がないのでは」という声が聞こえるようになりました。担当者の方からこの質問を受けることも少なくありません。とはいえ、SEOが不要になるわけではありません。

Googleは生成AI機能向けの公式ガイドで、AI Overviewなどの生成AI機能はコアの検索ランキングの仕組みの上に成り立っており、SEOのベストプラクティスは引き続き有効だと説明しています。コアの検索ランキングの仕組みとは、通常の検索結果の順位を決めている評価の仕組みのことです。AI Overviewは検索とは別の世界で動いているのではなく、これまでの検索の評価を土台にしている、ということになります。

AI Overviewに引用されるためにも、まず検索エンジンにインデックスされ、評価されていることが前提になります。インデックスとは、検索エンジンがページを読み取り、検索結果に表示できる状態で登録することです。そもそもインデックスされていないページは、どれだけ内容が良くても、AI Overviewの材料になりようがありません。

裏を返せば、サイトの構造を整える、ページの内容をわかりやすく書くといった、これまで積み重ねてきたSEOの取り組みは、AI検索の時代にも土台として生き続けるわけです。

9-2. SEOの効果が残るカテゴリ

6章で見たように、指名検索、比較検討、申し込み・購入、地域に関する検索では、サイトを訪れる理由がはっきりしており、SEOの効果は引き続き大きいと考えられます。Rand Fishkin氏が挙げていたのも、ブランド名での検索、地域に関する検索、購入の意図が強い検索でした。

これらのカテゴリでSEOの効果が残るのは、ユーザーが検索結果の要約だけでは判断を下せないからです。料金や契約の条件を確かめたい人、自分の住んでいる地域で対応してくれるかを知りたい人、申し込みの手続きを進めたい人は、最終的に公式のページを開く必要があります。AIの回答が便利になっても、申し込みや購入そのものは、多くの場合サイトの上で行われるでしょう。

実務の面では、こうしたページのSEOは、情報をどんどん足すことよりも、訪れた人を迷わせないことが大切になります。料金ページであれば、プランの違いがひと目でわかるか、追加の費用がかかる条件が書かれているか、といった点です。比較検討の段階にいる人は、知りたい答えが見つからなければ、競合のサイトに移ってしまいかねません。

情報収集型の記事に比べると、こうしたページは数が少なく、地味に見えるかもしれません。しかし、ゼロクリック時代には、ここが成果に最も近い場所になります。

9-3. SEOとAIO対策をどう組み合わせるか

ゼロクリック時代の検索対策は、SEOとAIO対策の2つを両輪で進めることになります。

SEOが担うのは、守るべき流入、つまり指名・比較・申し込みのページを強化し、戻ってきた人を成果につなげる役割です。一方のAIO対策は、情報収集の段階で、AIの回答や検索結果に引用され、名前を残す役割を担います。ユーザーの動きに当てはめると、AIO対策で最初の接点をつくり、SEOで整えたページで受け止める、という流れになるわけです。

どちらか一方ではなく、両方を組み合わせることで、ゼロクリック検索が増えても、選ばれ続けるサイトをつくれます。たとえば、AIO対策だけに力を入れて名前が知られるようになっても、戻ってきた人が訪れるサービスページがわかりにくければ、問い合わせにはつながりません。反対に、SEOでサービスページを磨き込んでいても、情報収集の段階で名前が挙がらなければ、そもそも指名検索が生まれにくくなります。

社内で進めるときは、担当を完全に分けるより、同じチームが両方の数字を見られる体制にしておくと、施策のつながりを把握しやすくなるでしょう。8章で紹介したKPIを、SEOとAIO対策の共通の指標として使うのもひとつの方法です。

バクリでは、AI検索での引用状況の可視化から、SEOと組み合わせた施策の設計、社内で続けられる体制づくりまでを一貫して支援しています。

10. ゼロクリック検索に関するよくある質問

Q1. 日本のゼロクリック率はどれくらいですか?

2026年10月時点で、日本のGoogle検索について、米国の調査と同じ手法でゼロクリック率を測った公開データは見当たりません。よく引用される68.01%は米国のデータなので、日本の数字として紹介しないよう注意が必要です。日本では、検索の手段として生成AIを使う人が52.3%にのぼるという調査があり(サイバーエージェント、2026年8月)、サイトを訪れずに答えを得る場面は増えていると考えられます。

Q2. アクセスが減ったら、まず何をすればよいですか?

まずサーチコンソールで、表示回数は維持されているのにクリック率だけが下がっているクエリを探してください。季節の影響を避けるため、前年同期と比べるのが基本です。そのクエリが自社の事業に近い情報収集型なら、答えを先に示して引用を狙い、事業から遠ければ追わない、と振り分けます。並行して、指名検索の数が減っていないかも確認しておくと安心です。

Q3. ゼロクリック検索とAI Overviewは同じ意味ですか?

違います。ゼロクリック検索は「クリックされずに検索が終わる」という現象で、AI Overviewはその現象を生む機能のひとつです。強調スニペットやナレッジパネル、ローカルパックなども、ゼロクリック検索を生む機能に含まれます。そのため、AI Overviewが表示されないキーワードでも、ゼロクリック検索は起こりえます。

Q4. BtoB企業にもゼロクリック検索の影響はありますか?

あります。とくに、用語解説などの情報収集型の記事で集客してきたBtoB企業は、クリックが減る可能性があります。一方で、BtoBの購買では最終的にサイトや営業担当の情報で判断されるため、AIの回答で名前を知ってもらい、あとから指名検索で戻ってきてもらう設計が重要になります。戻ってきた人が資料請求や問い合わせに迷わずたどり着けるかも、あわせて見直しておきたいところです。

Q5. 指名検索を増やすには、何から始めればよいですか?

まず、サービス名や商品名の表記を統一し、覚えやすくすることです。そのうえで、独自の調査データや事例など、引用されたときに自社の名前が一緒に伝わる情報を公開します。検索以外の接点(SNS、業界メディア、イベントなど)で名前を知ってもらうことも、指名検索の増加につながります。効果は、サーチコンソールで社名を含むクエリの推移を見ながら確かめてください。

11. まとめ|ゼロクリック時代は「名前を残す」ことから

ゼロクリック検索は、米国ではGoogle検索の約7割にのぼるとされ、情報収集型のページを中心にクリックが減る流れは今後も続くと考えられます。ただし、クリックされないことは選ばれていないことと同じではありません。AIの回答や検索結果で名前を知った人の多くは、あとから自分で検索して戻ってきます。引用されて名前を残し、戻ってきた人を成果につなげるところまで設計することが、これからの対策の中心です。

まずはサーチコンソールで、表示回数は維持されているのにクリック率だけが下がっているクエリと、指名検索の推移を確認してみてください。

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