6業界を並べると、何が見えるか
どの業界でも、AIが最も多く読むのは事業者の商品・サービスのページ。業界×モデルの12通り中10通りで1位
ページの型で並べると、最も多く読まれたのは、事業者自身の公式サイトにある商品・サービスのページ(トップページを含む)でした。ChatGPTは6業界すべてで1位(参照の37〜89%)、Geminiも4業界で1位です(8〜54%)。例外はGeminiの観光・宿泊(OTAなどポータルの一覧ページが1位)と銀行・法人(メディア・専門家の解説記事が1位)の2つだけでした。以下の発見はモデルや業界による違いですが、その土台にあるのは、どの業界でも事業者自身のページです。
ページの型はURLから判定している。観光・宿泊、不動産の2編は、このページで他の4編と同じ考え方で型を判定し直した(各業界編の数値は変えていない)。
大きなポータルがある業界では、AIもポータルを読む。観光・宿泊ではGeminiの参照の70%
観光・宿泊ではOTA・旅行会社のサイトが、ChatGPTで参照の41%、Geminiで70%を占めました。不動産でも、ChatGPTは参照の40%を不動産ポータルから読んでいます。一方、銀行の3編では比較サイト・金融ポータルは0〜10%にとどまり、ChatGPTは参照の59〜89%を金融機関の公式サイトから読みました。業界に「みんなが使う大きなポータル」があるかどうかで、AIの読み先は大きく変わります。
6業界すべてで、ChatGPTはGeminiより公的機関を多く読む。最大で参照の38%
公的機関・業界団体の割合は、6業界すべてでChatGPTのほうが高く、Geminiの1.8〜8.7倍でした。特に高いのは、銀行・法人(38%。日本政策金融公庫や自治体の制度融資)と、美容医療(21%。国民生活センター・厚生労働省の注意喚起や学会)です。国や自治体が制度や注意喚起を出しているテーマでは、ChatGPTはそれを答えの根拠に組み込みます。
Geminiはメディア・比較記事を読む。その割合は5/6業界でChatGPTを上回り、最大44%
メディア・比較記事が参照に占める割合は、観光・宿泊(ChatGPT 3% → Gemini 14%)、美容医療(2% → 11%)、銀行の3編(1〜9% → 37〜44%)で、Geminiのほうが大きく上回りました。例外は不動産で、両モデルとも10〜11%とほぼ同じです。背景には読む量の差があります。Geminiは1回の回答でChatGPTの1.5〜5.1倍のページを読み、ChatGPTの参照の65〜92%はGeminiも読んだサイトに向いています。ChatGPTは少数のサイトに絞り、Geminiはその外側のメディアまで広く拾っています。
Geminiは公式サイトでもコラムを開く。公式サイトの参照のうちコラム・解説記事が7〜43%(ChatGPTは0〜12%)
事業者の公式サイトが読まれたとき、どのページが開かれたかを見ると、ChatGPTはほとんどが商品・サービスやトップのページで、コラム・解説記事は0〜12%でした。Geminiは7〜43%がコラム・解説記事で、6業界すべてでChatGPTを上回っています。特に多いのは美容医療(43%)と不動産(29%)です。参照全体で見ると、自社のコラムはGeminiで0.9〜31.8%、ChatGPTで0.2〜5.0%です。
ページの型はURLから判定している。美容医療は自院サイト内の「おすすめ・比較」記事を含む。観光・宿泊、不動産の2編は、当初の分類に解説記事の区分が無かったため、このページで他の4編と同じ考え方で型を判定し直した(各業界編の数値は変えていない)。不動産は当初の分類で、不動産会社以外の媒体の一部が事業者の公式サイトに含まれているため、高めに出ている可能性がある。
SNS・ブログ・口コミの投稿は、6業界・両モデルとも参照の5%未満
個人のブログ・SNS・Q&Aサイト・口コミの投稿が参照に占める割合は、最も高い業界・モデルでも4.7%でした。AIが答えの根拠にしているのは、事業者の公式サイト、ポータル、公的機関、メディアの記事がほとんどです。今回の6業界では、SNSでの話題づくりはAIの回答の根拠にはほとんどつながっていません。
目盛りは10%まで。
同じ質問をもう一度しても、同じページが開かれるのは4〜32%
同じ質問を2〜3回ずつ実行したところ、すべての回で開かれたページは4〜32%でした。サイト単位で見ても、すべての回で参照されたのは質問ごとの中央値で33〜83%です。一方で、読まれるサイトの「種類」は、すべての回で89〜100%(中央値)が一致しました。AIは毎回違うページを開きますが、どの種類のサイトを読むかはほとんど変わりません。
不動産編は1回の計測のため除いている。美容医療は3回、ほかは2回実行。
業界ごとに、AIが読むサイトの種類と上位5サイトを確かめる
その業界の全質問を合計し、参照されたサイトの種類と上位5サイト(参照に占める比率)を表示する。サイトの種類の呼び名はその業界編に合わせている。 「1回答あたり」は1回の回答で参照されたページ数の平均。ドメインは計測データのまま掲載している。
各業界編のレポート
不動産業界の調査(2026-07-24計測・質問618件)は社内調査のため、ウェブ版を公開していません。このページの集計には含めています。
6業界の調査から見えた、AIに選ばれるための条件
- 商品・サービスのページが、質問の条件に答えているかChatGPTは参照の42〜89%を事業者の公式サイトから読む。対象者・料金や金利・条件・手続き・相談窓口を、商品やサービスごとの個別ページの中で明示する。
- 公的な制度・基準との関係を書いているか6業界すべてで、ChatGPTはGeminiより公的機関を多く読む(最大38%)。取り扱う制度、基準や注意喚起への対応を、自社のページで説明しておく。
- 業界のポータルに、正しい情報で載っているか観光・宿泊、不動産では、ChatGPTの参照の40〜41%がポータル。ポータルが強い業界では、掲載情報の正確さと充実度も対策に含める。
- 外部のメディア・比較記事に、正しい情報で取り上げられているかGeminiのほうがメディア・比較記事を多く読んだのは5/6業界で、最大44%。掲載されている料金・条件が最新かを確かめ、取材・寄稿・情報提供で専門家・業界メディアに取り上げられる機会を増やす。
- 疑問ごとに答えるコラムを、自社サイトに持っているかGeminiは公式サイトを読むとき、その7〜43%でコラム・解説記事を開く(6業界すべてでChatGPTより多い)。「選び方」「違い」「注意点」など、検討中の疑問に答える記事を、商品・サービスのページとは別に用意する。
これまでの調査をまとめた
全24ページのレポートを配布しています
レポートでは、観光・宿泊、美容医療、銀行(ローン・口座・預金・法人)の5業界・2,238問の計測データを同じ物差しで集計し直し、業界ごとの数表や上位サイト、対策の詳しい解説までまとめています。
- 5業界×2モデルの計測サマリー(ドメイン数・1回答あたりの参照数・上位サイトへの集中度・2モデルの重なり・再実行の安定性)
- 情報源の種類と、読まれるページの型の業界×モデル別の構成
- 6つの発見ごとの業界別データ(AIが読んだ公的機関・メディアの上位サイトなど)
- AIに選ばれるための条件(詳細版):項目ごとの根拠・確かめ方・直し方
- 業界のタイプ別(ポータル型・制度型・解説メディア型)に見た、対策の優先順位
- 業界ごとの参照上位20サイトと2モデルの重なり、指標の定義、調査の前提と限界
出典:バクリ株式会社・Dr.AISEO株式会社 独自調査(ChatGPT/Gemini・2026年7月〜10月・
観光・宿泊、不動産、美容医療、銀行(ローン・口座・預金・法人)の2,856件のプロンプトを各1〜3回実行)
業界ごとに計測時期・質問の設計・実行回数が異なるため、比べているのは件数ではなく構成比である。
不動産業界の調査はウェブ版を公開していない社内調査で、本ページではその集計結果を用いている。
本レポートは特定企業の評価を目的としたものではなく、生成AIの参照構造を比較することを目的としている。